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ウソ
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ウソ×B-2

「主任といつ別れる?」
「…」
「お前なぁ、待つにも限界ってあるぞ」
「別れてもあんたのとこに行くなんて言ってないけど」
「顔が小松大好きって言ってるけど」
「…っ」
いちいち反応するあたしを見て小松は笑う。その笑顔を見せられる度に胸がふわふわ浮き上がるみたい。
「それとも、押さえ込まれるのが気に入っちゃった?」
「んなっ」
「お前完璧Mだな」
「うるさい、バカ!」
こんなレベルの低い言い合いさえ心地良く思える。ずっと続いて欲しい関係。あたしは小松という人間を半分も知らないだろうに…
「…ねぇ、小松ってそーゆうヤツだっけ?」
「は?」
「もっと脳天気で純朴だった気がする」
「誰が脳天気だ」
「堂々とセクハラするタイプじゃなかったじゃん」
「セクハラぁ?」
「セクハラ」
小松はおもむろにあたしの肩に手を回すと、
「ふぅっ」
耳に息を吹き掛けた。
「ひぁっ」
身をよじって逃げるあたしを見て小松は笑う。
「セクハラって、こーゆうの?」
「〜〜〜っ」
「確かに、堂々とするタイプではないかもなぁ」
ニヤリとイヤらしい笑みを浮かべてあたしの顔を覗き込んだ。
「松田にはしたくなる」
「何それ」
「可愛いから」
「…え」
「あ、反応がね」
「バカッ!!」
殴ろうと振り下ろした掌はひょいと避けられた。
「昼休み終わるぞ〜」
後ろ向きに手を振って、一人でさっさと行ってしまった。
何しに来たのよ、あいつ!やっぱり馬鹿にしてる。人をからかって…
「…ふん」
あたしの心の声も、説得力ないなぁ。
さっきから口角が制御できないくらい上がっていく。
主任との関係は、いくら付き合っていようが結局愛人には変わりなくて、どんなに頑張っても一番にはなれない。でも小松はあたしを求めてくれる。こんなあたしを一番にしてくれる。
それが嬉しい。
ただ、主任と別れるって意気込んだものの、どうやって別れを切り出したらいいんだろう。
情けない話、人生でフラれた事はあってもフった事はなかった。いや、フルってのもおかしいか。元々まともな付き合いではないんだし、"解消"といったとこか。
それに、今のこの小松との関係を終わらすのも惜しいんだよな。
"友達以上恋人未満"っての?
付かず離れずの距離がたまらなく楽しい。
だからってこのままでいいわけも無いし。思う存分"友達以上恋人未満"を味わってからにしちゃおっかな。
そんな結論に至ったと翌日睦月に伝えると、
「あんたいつからそんな女になったの」
それはそれは怪訝そうな目であたしを見た。
「…駄目かな」
「当たり前でしょー!?何モテる女気取ってんのよ」
「そんなつもりじゃないよ!」
「じゃあどーゆうつもり?」
「どうって…」
「小松を待たせて優越感に浸るのは勝手だけど、そーゆう事はあんたがフリーになってからしなさいよ」
「う」
「携帯貸しな」
「なんで?」
「いいから貸しな」
迫力に負けてポケットから携帯を取り出すと、睦月はそれを奪うように取り上げて何やら操作し始めた。
「よし、送信完了」
「は?送信って…」
返された携帯をメール画面にすると、そこには―
「今主任にメールした。今夜8:00、事務所に来てって」
「…」
本当だ。
送信完了されてる。


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