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ウソ
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ウソ×B-1

「へえぇえ?あいつが真面目に告白ねぇ」
昼休み、屋上にて。
小松に告白された事を睦月に報告。
「どう思う?」
「それをその顔で聞くか」
「え?」
「ニヤニヤしちゃってさぁ、全然困ってないじゃない」
「…そう?」
いや、そうかも。
あれから寝るまで頭の中を小松が占領していて、寝たら寝たで夢にまで出て来る始末。
「好きになっちゃったんなら付き合えばいいでしょ」
「でもさ、それって簡単に惚れ過ぎじゃない!?もっと順序ってもんが―」
「その前にヤっちゃったくせに何が順序だ」
「あぅ…」
もっともな意見に二の句が継げない。
「さっさと主任と別れて小松んとこ行きなよ。待っててくれるんでしょ?」
「そうみたいね」
睦月は残り僅かなパックのジュースを音をたてて飲み干して言った。
「あたしはね、友達の恋は応援したいのよ」
「何、いきなり」
「なのにあんたが不倫なんかするもんだから全然楽しくなかった」
「はぁ?」
聞き返すあたしに、睦月は満面の笑みを見せた。
「これで心置きなく松田と恋バナができるわ」
「…」
何て答えたらいいのか分からなくて、殆ど空になったジュースのパックにストローから空気を入れてペコペコ鳴らしてごまかした。
あたしはこの子に心配かけていたんだな。
不倫なんて終わったとしても傷つくのは自分だけだと思ってたのに、あたしが泣いたらきっと睦月も泣いてくれる。傷つけば一緒に傷つく。
この年になってこんな友達ができるとは思わなかった。
「あ」
「ん?」
「ごめん、松田!あたし先に行くね」
「え、行くならあたしも―」
「いいからいいから」
立ち上がろうとしたあたしの肩を押さえた睦月は屋上出口に目を向けた。つられてその視線を追うと―…
「こま…」
小松だ。
昨日別れてから顔を合わせるのは初めて。
一気に顔が赤らむのが分かった。動悸の激しさも尋常じゃない。
二人っきりはまずい!
睦月を引き止めようとしたけど時既に遅し。
軽やかな足取りで屋上を後にしていた。
どうしようどうしよう。
小松が近付いて来る。
こんな時ってどんな顔してればいいの?座ってていい?立った方がいい?こっちも近付けばいいの?
そんな事を考えてるうちに小松はあたしの隣にドサッと腰を下ろした。
「まぁつだぁ?」
「…何」
「顔、赤いんだけど」
「暑いの」
「ふぅん」
胸がくすぐったい。
それは不思議で久し振りの感覚。
自分を好いてくれてる存在ってのは、ここまで人をピュアにさせるかね。


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