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『僕の瞳に映るのは……』
【純愛 恋愛小説】

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『僕の瞳に映るのは……』-10

エピローグ

僕のみんなからのイメージは、冷静沈着、無感動…

だけど最近、新しい形容詞『無気力』って奴が付いた。どうやら、いつも溜息をついている事が原因らしい。前の二つは置いといて、三つ目は否定する気になれない……

あの日の出来事は、確かに僕の日常を変えた。けれど、それは溜息が増えた事と帰り道を変えた事。そして、お気に入りだったあの場所に行かなくなった事……

その日もいつも通りに家に帰った僕を、まるで待ち構えていた様に電話が鳴った。

「はい、風見ですが……。え!…親父が!?…入…院……」

その十分後には、僕は病院に向かって走っていた。ゼイゼイと息を切らし、病院に着いた僕は受付で親父の病室を聞いて部屋まで急いだ。

……ガチャ……

「おぉ智則、来たのか。」
「はぁ?親父…?」

病室で僕を出迎えた親父は豪快に笑った。

「イテテ……いやあ、スマン、スマン……」

呆気に取られる僕に、側にいた看護士さんが説明してくれる。急性盲腸で入院して、午前中には手術を終えて現在の状況だとか……

思わず、へなへなと力が抜けた。あの日以来、僕は病院とかケガとか事故っていう単語に過敏に反応する様になってしまった。だから、脳天気な親父のリアクションに心配を通り越して怒りすら感じる。

「息子に心配かけるな、バカ親父!とにかく、一旦帰って荷物持って来るから、大人しくしててくれ。」

悪態ついて病室から出ると、僕は小さく胸を撫で下ろした。

ドタドタドタッ!!

「先生!!急いで下さい!〇〇号室の患者さんが……」
「うむ!わかった!」

僕の前を医師と看護士が全力疾走で駆け抜けて行く。おいおい、医者が廊下を走っていいのか?
なんとも騒がしい病院を後にして僕は取り敢えず家に帰った。

折しも、今は夏休み。すぐに病院に行くのも何となく癪だったので、ワザと三日ぐらいしてから僕は病院に行く。

だけど、タイミング悪く院長回診に遭遇してしまい、荷物だけ置くと僕は病院の中庭のベンチで時間を潰していた。暑い日だったけど、上手い具合に木陰がベンチを覆い、そよそよと吹く風が心地いい。

ふと、僕は夏休み前にクラスの連中が話していた事を思い出した。夏休み中にファーストキスをするとかしないとか……


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