笹沢瀬里奈の悩み 〜Love trouble〜-22
「うおっ、おっ……せ、瀬里奈っ……!」
名前を呼ばれた瀬里奈は、面白くなさそうに片眉を吊り上げた。
いや……なさそう、ではない。
実際に、面白くないのである。
自分に男を見る目がなかったせいで、こんなヘタレた男を捕まえてしまったのだから。
こんな男にはたとえお腹の脂肪1mgですら、分け与えたくなどない。
ましてや女の子の大事な部分に受け入れてやるなど、天地がひっくり返ってもやりたくない事である。
だから瀬里奈は別れた恋人から仕込まれたテクニックを駆使し、山科を散々に喘がせているのだ。
「ほら、イッちゃいなさいよぉ……」
「あうぅ、おふっ、おっ……!おほおうっ……!」
ぴるぴるぴる……
山科の先端から透明に近くなった精液が少量、滲み出る。
既に何度も射精させられ、山科のタンクはほぼ空になっていた。
ひっくり返った蛙のように間抜けな格好で荒い息をついている山科の顔を、瀬里奈は覗き込む。
「せ、瀬里奈……」
またしても名前を呼ばれ、瀬里奈は不快そうに眉を歪めた。
大きく開けて必死に酸素を取り込んでいる山科の口へ、白い液体まみれの指を突っ込む。
「さっきから瀬里奈瀬里奈って……あんたいったい何様のつもり?」
言いながら、瀬里奈は山科の口腔内へ精液をなすりつける。
「あたし、あんたに『名前で呼んで』なんてひとっことも言ってないわよ?」
自分の放出したモノを味あわされ、山科は体をよじった。
だが何度も射精させられた山科の体は、そんな行為をはねのける事もできない程に消耗している。
「ましてやあたしは付き合う以前の関係で、あんたから名前で呼ばれる筋合いはますますないの」
指で容赦なく口腔を蹂躙しながら、瀬里奈は言い募った。
「なのにさっきから瀬里奈瀬里奈って……ふざけんじゃないわよ」
指の精液をあらかたなすりつけてしまうと、瀬里奈は立ち上がる。
「こんなに出して貰ったんだから、満足でしょう?もう二度とあたしに付き纏わないでちょうだい」
そう言うと、山科は切れ切れな声を出した。
「てっ……めぇ……!ふ、ふざけんじゃ……!」
「……口で言っても聞いてくれなさそうね。それじゃ、記念撮影してあげる」
瀬里奈は携帯を取り出すとカメラを起動させ、動けない山科を色々なアングルから撮る。
「今後あたしやあたしの友達の前にあんたやあんたの息のかかった連中が姿を見せたりしたら、あたしはインターネットでこの画像を遠慮なくばらまくわよ」
瀬里奈は、悪魔のような笑みを浮かべた。
「それか、大量にプリントしてあんたのお家周辺にばらまいてあげる方がいい?あたしは、どっちでも構わないわよ」
駅名を告げるアナウンスがあると、少年はうたた寝から目を覚ました。
「あふ……」
大きな欠伸を一つして、少年は電車の窓の外に目をやる。
「どっこも変わっとらんなァ……」
少年は、感慨深げに呟いた。
「五年前のまんまや……これなら、すぐに馴染めそうやな」
電車が止まると少年は、手荷物片手に電車を降りる。
「五年ぶりか……い〜い女になっとるんやろうなぁ……待ってろや、美弥」