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jam!
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jam! 第7話 『蒐蓮寺の怪夜 前編』-1

霧生市内、某所。


やけに暗く、広い部屋の中。
月明かりだけが照らすその暗闇の中、動く影が二つ。


「――いよいよだ、な」
「えぇ。ほぼ予定通りです

低い声と、落ち着いた声。どうやら、そのどちらもが男のようである。

「……それにしても、結界を張るに加えて俺が護衛とは、な。ここまで厳重にやる必要はあるの、か?」

低い声が問う。

「今回の実験は、結果からすれば小さな事ですが……計画の中核を担う大事な実験なのでね」

落ち着いた声が返す。
言いながら、何かを確かめるように床に手をかざし歩き回る。

「それに、小さな失敗は大きな破綻を生みますからね。慎重を期すに越したことは無いのですよ……と」

立ち止まる。

「……ふむ。やはりこの床の下にあるようですねぇ」
「出入口は?」
「どうやら無いようです。完全に遮断されていますね。まぁ、賢明な判断だとは思いますが」
「そう、か。……破壊する、か?」
「ま、結界は張ってありますし。…いいでしょう。1番手っ取り早いですしね」

言い終わらない内に、一方の影が動く。

バガン、と轟音。

……木造の床に、大穴が開いていた。

「それでは、私は実験の準備を。あなたは表で見張りをお願いします」
「分かった。……いよいよ開始、か」
「さぁ、――偉業への第一歩です」

▼▼


僕が通っている高校、その裏手に蒐蓮寺は建っている。
昔からある古いお寺で、なんでも起源は平安以前に遡るとか遡らないとか。

……とは言ってもやはりお寺はお寺、高校生たる僕なんかがそう用事があるワケも無く。家も反対方向なのでほとんど近くを通った事もない。


「なんだよリショー君。高校のすぐ近くなのに、行った事ないのか?」
「ま、そういう事ですね」
「駄目だな。地元の事はよく知っとくべきだぜ」
「でも確かに、お寺ってあんまり行くような機会が無いですよね」

二階堂さんの向こう側から悠梨ちゃんの声。

「うーん、まぁ……。僕の場合はそれだけが理由じゃないんですけど」
「お?どういう意味だ?」
「ほら、僕って幽霊が見えやすい体質じゃないですか」
「らしいな。それがどうかしたのか?」
「お寺とかは……出やすいんですよ。それも大量に」
「「なるほど」」

納得いったのか同時に頷く二人。


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