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jam! 第7話 『蒐蓮寺の怪夜 前編』-2

「だから、できればあまり近寄りたくないんですよね……」
「別に無理して来なくても良かったんだぜ?」
「一応、バイト生ですし。それに今回はウチの学校も近いんで、何が起きてるのかやっぱり気になるんです」
「ふーん……。まぁ気を付けろよ。今回はちっとマズそうだぜ………おっ」

そうこう言っているうちに蒐蓮寺が見えてきた。
と、悠梨ちゃんが足を止めた。

「………妙ですね」
「あん?どうした悠梨?」
「……結界が張ってあります」
「結界だぁ?」

僕も蒐蓮寺の方を見る。

「……駄目だ。全然分からないや」
「私も結界術を使いますから、なんとなく分かるんです。力の流れ、みたいなモノが見えるというか…」
「へぇ。でも結界を張ると具体的にはどうなるの?」
「種類によって効果は異なりますけど……」

しばし蒐蓮寺の方を見つめ、

「見たところアレは、結界外部への音や振動を遮断するタイプですね」
「要するに、中で何をやっても外のやつに気付かれなくするんだな。……それより、問題は『誰がやったか』だ」

二階堂さんが難しい顔をする。

「可能性としては、俺達の同業者が蒐蓮寺の異変に気付いて先に入ったってのもあるが……」
「結界を張るってことは……二重宮(ふたえのみや)家ですか?」
「いや、あの二人がこんな時間に外出するとは思えねぇ」
「ですよね……。ということは…」

二階堂さんは頷いた。

「ん、蒐蓮寺の『穴』の結界をいじった犯人の可能性が高いな。取っ捕まえるぞ」

……うーん。

正直な話、結界だとか二重宮家だとか、二人が話している事は僕にはよく分からなかったりする。
もちろん、分かったからといって何が出来るわけでもないんだけど。

そんな事を思いつつ坂を上がり、ようやくというか。

目の前にそびえる木造の大きな門。
刻まれた名は、『蒐蓮寺』。

「さーて。何が出るかはお楽しみっ……と」

二階堂さんはそう言って門をくぐり、

すぐにその足を止めた。

「……さっそくお出ましか」


前方には、蒐蓮寺の本堂。

そこに、人が立っていた。
笠を被っているので顔はよく見えないが、見たところ和装の男性……のようだ。
こちらに気付き、呟く。

「……ふむ。何事も無しとはいかぬ、か。やはり現実とはままならぬモノ、よ」
「……誰だ、テメェ。ここで何してやがる?」
「それはこちらのセリフだ、な。結界が張ってあったハズだ、が?」
「聞いてんのはこっちだろうが」
「寺の住職だ……と言えば信じる、か?」

男が聞き返す。


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