陽だまりの詩 16-5
最後まで目を通した俺に待っていたのは、美沙が死んだという、確実に起こった現実だった。
「美沙ぁ…俺は…お前にとって…いい兄貴でいれたかなあ…?」
ボタボタと紙に涙が落ちる。
いや、もう泣くのはやめよう。
これから今すぐ奏のところに行く。
俺が奏の手を引いてやる。
そう決めて、紙をズボンのポケットに仕舞おうとしたときだった。
ちらりと紙の裏が目に入る。
「うっ…うあ……ああ!」
二つ折りにしていたから気が付かなかった。
紙の裏には美沙の綺麗な字。
その一言は、先ほどの俺の問いにしっかりと答えをくれた。
『大好きだよ お兄ちゃん』
俺は全く動けずに、その場でひざまずいて泣いた。
せっかく止まった涙も、決心も、すべてが揺るがされた。
美沙は…
今でも…
あの頃の無邪気な可愛い妹だったんだ。