セックスライフ-12
「おい、どうした? 存分に出していいんだぞ」
もう肛門近くまで押し寄せているマグマを、彩の理性が必死で堪えている。
それは、撮影うんぬんではなく、まわりのスタッフらにまで自分の汚辱が晒されることに抵抗を感じていたからだった。
(駄目、出さなきゃ……周りのことなど気にせず、ここで思いっきり出さなければ……)
心の中で必死に葛藤する彩。
このような葛藤に見舞われていることなど、誰も知る由がない。
男優も、少し焦り気味に煽り立てた。
周りの眼が全て自分のアヌスに集中している。そう思えば思うほど括約筋に力が入ってしまう。
しかし、便意も限界にまできていた。
彩は覚悟した。
そして、声と共に思いっきり踏ん張った。
「んんっ!!」
ブシュ、ブシュシュ、ブシャアアア―――
開いた肛門から、堰を切ったように噴射されてくる汚濁液。
堪えた時間が長かった分、その勢いは凄かった。
ときおり、ブッ、ブビィ、と空気を裂くような放屁を交えながらの排泄は、見ているもの全てを釘付けにし、また、射精させていった。
一回目の浣腸シーンを満足いく出来で終えた彩は、控え室でグッタリしながらもマネージャーに笑顔を向けていた。
トントン―――
次に浣腸を行うことになっている男優が、心配になって部屋を訪れてきた。
「なあ、本当に800で大丈夫か? さっきもずいぶん辛そうだったし」
「優しいのね、ありがとう。でも本当に大丈夫だから」
「でもさ、アナルセックスだってあるんだよ? ほんとに平気か?」
「そんな弱気な性格じゃ、いつになっても大物にはなれないわよ」
「な、なんだと! 俺はお前のことが心配だから」
「分かってるって。でもね、この映画は最後まで手を抜きたくないの。あなたとのラストシーンで全てが完成する。お願い、鬼となって撮影に望んで」
彩は力を込めて言い放った。
「あ、彩……。分かったよ。でも、ほんとに無理はすんなよ」
去っていく男優を見送りながら、彩は泣きそうな感情を必死で堪えた。
ここまでの撮影は本当に辛かった。
この勝気な性格と気丈さがなかったら絶対に耐えられなかっただろう。
すべては自分で決めた事だ。
反対するスタッフや共演者、それに監督達を強引に巻き込んできたのも自分だ。
一つたりとも妥協するなんてことは出来ない。
彩は、再度自身の決意を確認してから撮影に向かった。
「よーし、最後の撮影に入るぞ。みんな、しっかり気合入れていくぞ!」
監督の言葉に皆が呼応し、撮影場全体にパワーが漲っていく。
彩の眼も燃えていた。
「スタート!!」
自宅でひっそりと妻の帰りを待っていた夫。
妻がどんな男に、どんな風に調教されているか……それを思うとやるせない気持ちでいっぱいになる。
夫は、ただぼんやりと窓を見つめていた。