万華(その1)-2
どこか湿気を帯びたぬるりとした空気が少女の肌に吸いつく。黴がびっしりと生えた石の壁は
濃緑色に黒ずみ、高い天井を支える黒い梁には無数の蜘蛛の糸が不気味な光を放っていた。
裸電球の灯りだけに照らされた地下堂は、どこか妖しげな幽寂さに包まれ、散らばった骨壺か
らは、屍骸の乾いた死臭が少女の鼻腔から肺の粘膜に奥深く滲み込んでくるようだった。
床に座り込みその電球の灯りを受けた痩せたあの男は、不気味なくらい蒼白な顔をしていた。
そして頬のこけた男は背中まで伸びた長い髪を束ね、落ち窪んだ眼球を蛇のように粘っこく細
めていた。普段とは別人のようなどこか妖しげな男の風貌に、少女は体の内側を悪寒に似た戦慄
に襲われるのだった。
上半身肌脱ぎになり、下半身に褪せて変色した下着だけを身につけた男の手足は、痩せた鶏殻
のような皮膚をし、血管の浮き出た腕は病に冒されたようにざらりと瘡蓋状に爛れ、薄くあばら
骨が見える胸の乳首は、まるで腐爛した膿のような臭いを漂わせていた。
男はしばらく少女から剥いだ白いパンティを手に取り、その潰れたような鼻先でその臭いを嗅
いでいた。そして少女のパンティに残るわずかな染みの部分に、まるで蛇の肝のように赤黒い長
い舌を突き出し犬のように舐めていた。
しばらくすると男は少女の股間を覗き込むように膝をつき、その引き締まった白い太腿の付け
根に手を伸ばす。まだ産毛に覆われたような柔らかな少女の秘丘をざらりとした乾いた魚の鱗の
ような掌が撫でるように触れる。
…ああっ…やめて…
少女は声をあげようとするがその白い喉仏は硬直したように痙攣し声が出なかった。それに反
応したように少女の薄桃色の淫唇が、蒼白い繊毛の中でわずかに脅えたように震えた。
そして男の掌がゆっくりと秘丘からその柔らかい白い太腿へと這い始める。肌理の細かい雪肌
をした少女の太腿はやや湿り気を持ち、艶やかで滑らかな肉づきをしていた。男はその内腿を掌
を這わせるように撫でさすり始めるのだった。
爬虫類の腹のように白い指先が淫猥に蠢くように少女の太腿をねっとりと撫でる。蕩けるよう
に柔らかく若い肌をした少女の下半身が小刻みに震えていた。
やがて男の指は、その悩ましく盛り上がる淡い繊毛の繁みに吸い寄せられるように這う。その
指は少女の薄い絹糸のように靡いた淫毛を淫猥に絡め、掻き分けながらその柔らかい割れ目をま
さぐるのだった。
しだいに少女は、男の指の淫靡な感触に刺激されるように熱っぽく息を吐き始めるのだった。
清楚な睫毛を潤ませた少女の額にしだいに冷汗が滲んでくる。少女は苦しげに眉根を寄せ、そ
の整った初々しい唇から嗚咽を洩らした。男は少女の淫唇に微妙な刺激を与えながらも、どこか
甘い匂いのするしっかりと閉じられた桜色の割れ目を揉みほぐすように上下に撫でる。しだいに
翳りをもった薄桃色の少女の貝肉はほぐれるように柔らかくなるのだった。
彼女はその羞恥心に喘ぎ声を洩らし、悶えながらもその指の愛撫に酔っていくようだった。
少しずつ潤みを持ち始め露わになっていく淡紅色の少女の媚肉は、しだいに甘い蜜液で濡れた
蕾を開かせようとしていた。
少女の黒髪がその白いうなじに悩ましく乱れ、その紅潮した頬が大人の女の瑞々しい艶めきを
持ち始めていく。
男は薄笑いを浮かべながら少女の秘裂を指で執拗に愛撫した。そして解きほぐされた桜貝のよ
うな裂け目は、まるで成熟した女のような淫汁を漏らし始めるのだった。
男は満足するように少女の傍に置いてある骨壺の蓋をゆっくりと開けた。そしてその骨壺の中
には男が飼っている数十匹の蛞蝓が肉の塊のように蠢いていた。男はゆっくりとその蛞蝓を手で
掬い上げると少女の甘い香りのする雪白の内股の間に放つのだった…。