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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.9-7

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ざわざわと騒がしい店内を抜け、薄暗い暖簾の奥に久しぶりの顔触れが集まっていた。
「9年って長いよな。お前が教師とは世も末だぜ」
「そうそう、清水の癖に」
バリッとスーツを着込んだ清水は27歳だが貫禄ゼロの新米教師。
「日立は運送会社で草野はガソスタの社員かよ」
「そうそう。俺、頭使うのダメだから向いてるんだよね」
ケラケラと日立が笑い、隣にいる草野も口を開く。
「俺は高校ん時から世話になってて、そのまま勤めた口だよ。9年も経った気がしないね」
二人ともすっかり日に焼けて逞しい体つきである。
「水城さんは?」
「あたしは事務職。地元組だよ。島原さんは?」
日焼けした少年のような飛鳥は、すっかり落ち着いた社会人へと変わっていた。
「あたし、県外で派遣やってるのよ」
ぐいっ、とワインを煽り、あの頃と変わりの無い笑顔を作る。美樹は手近にあったボトルを持ち、隣の鷲尾のグラスへと注いだ。
「結婚おめでと」
「あ、ども。ありがとう」
照れながら答える大柄な鷲尾は、あの頃より身体が鍛えられていて、スーツの上からでも隆起した筋肉が逞しい。
「英理子も。おめでと」
同じワインをとくとく、と注ぎ、心からの笑顔を贈る。ありがとう、と返す英理子も本当に幸せそうだ。
「啓介くん、大手の会社でもう5年だもんね。絶好調じゃない?」
「そうでもないよ。あ、瀬田」
驚いた鷲尾に続き、皆が一斉に振り返った先には入口に佇む瀬田和馬がいた。
「嘘でしょ?」
「瀬田、くん?」
一様に驚き、本人かどうかを疑う。170を越えた細身の背丈に精悍な顔付き。あのクラス一小柄な少年の面影は、意志の強い瞳ぐらいだ。
「物凄い大事な話がある、って聞いたから帰って来てみれば。……鷲尾、担いだな」
憮然とした顔と口の悪さは変わっていない。どっかりと鷲尾の向かいに座る態度の大きさは正に瀬田である。
「今日着いたのか?」
「いや、一昨日。こっちに帰っても仕事は待ってくれないからな」
今や若手の物書きとして有名になりつつある瀬田は、左手にリングをつけた海外拠点のフィクション作家だ。
「そうだ、おめでとう。忘れてた」
携えていた紙袋を渡し、瀬田は笑う。
「初の絵本だ。どこにも売ってない合作のオリジナルだ」
「先生も元気そうなんだ」
鷲尾は嬉しそうに聞く。もちろんだ、と焼鳥を頬張りながら瀬田が返した。

「なんか別人みたいね、瀬田くん」
「そーだね。もしや桜ちやん、タイプとか?」
「違っ、あたしは」
べたべたなやり取りは見る者を恥ずかしがらせる。
吉田桜、矢田智春。あの頃の熱が冷めきらない同棲カップルである。
「かっわいー、桜ちゃん。超真っ赤じゃん。ほら西岡、可愛いと思わね?」
「俺に同意を求めんな」
キツネ目を更に細めて嫌そうな顔で言い放つ。
この三人、部署は違うが県外にて同じ会社に勤める同僚である。
「西岡ーっ、お前冷たい。彼女すら教えてくれないし」
「義務はないだろ。な、島原さん」
ニィっと厭味臭く笑い、ビールを飲む。対面に座った美樹は引き攣った笑顔で口を濁す。
「大学でもラブラブで、そろそろ結婚とかはないの?」
冷や汗をかきながら桜に問い掛ける。
「んー、まだ二人で遊びたいし。でも相澤さん、早かったよね」
隣で大きいお腹を摩るゆりは穏やかな笑みを返した。
「うん、三人目」
「やるよなー、栢沼」
「本当、人は見かけによらないって言うか」
柔らかな表情に中身が1番変わったのは相澤だよな、と皆が思う。そのくらい満ち足りた表情は幸せ色だ。


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