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過ぎ去りし日々
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還らざる日々V-8

「しかし、いくら何でも…」

 田嶋の声を尚美の唇が遮った。彼はされるがままに、濃厚なキスを受ける。

 彼女の唇が離れた。

「お喋りはいいから。脱いで…」

 尚美の手がベルトのバックルに掛かった。

「ま、待ってくれ…オレ帰るよ」

 田嶋の態度に、彼女は不敵な笑いを浮かべる。

「こういうトコ、ひとりで帰ったら怪しまれるで…」

 そう言って田嶋の下着を一気に降ろした。

「さっ、お風呂入ろ!」

 彼女は田嶋の手を引いてバスルームへと向かう。

 透明なアクリル材で作られた足付きのバスに、全面ピンク色の大理石のタイルが鮮やかだ。
 2人で向かい合せにバスに浸かる。お互いの脚が交差する。

「…田嶋さんの…もう、こんなになってる。下の名前は?」

「晋也…」

 尚美は田嶋の首に腕を回し、腰をくっ付けた。自分のモノが彼のモノに触れるくらいに。彼女は乳房を密着させる。

「晋也。私の事好き?」

 田嶋を見る尚美の瞳は憂いを帯び、田嶋に訴え掛けてくる。

 彼はそれを見て理性を失った。

「…実は…ひと目惚れなんだ。君が入った時から…」

 田嶋は欲求を満たすため、唇を重ねた。広いバスルームに荒い息遣いだけが響いた。

 田嶋のモノが尚美の膣内に入った瞬間、彼女の頭の中から田嶋の存在は消え去り、一生の姿が浮かんでいた。

 田嶋から行為を受けながら、一生と行為をしていると錯覚していた。




───


「じゃあまた…」

 タクシーの中から田嶋に優しく声をかけられ、にっこり微笑む尚美。

 再び動き出したタクシーのテールランプが闇に紛れる。
 アパートに戻ると部屋に照明もつけず、ベッドにうつ伏せになって涙を流した。

 酔ってとはいえ〈一生以外の男〉に抱かれてしまったのだ。
 後悔の念を唱えながら、彼女は弱い自分が情けなくなった。

 涙はとめども無く流れる。
 嗚咽は、しばらく彼女の口から漏れ続いていた。


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