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過ぎ去りし日々
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還らざる日々V-7

「じゃあ…お疲れさま!」

「お疲れさまです」

 2人のグラスを重なる。地酒が口元に運ばれる。
 最初、口の中にアルコールのピリッとした感じが伝わるが、次に甘味が広がった。
 そして、それらはスッと消えて、旨味と果実のような香りだけが最後に残る。

「これ、美味しい…」

 グラスを半分ほど飲んだ尚美は驚嘆した。田嶋はそれを見て嬉しそうだった。

「君のように飲みっぷりのいい娘は初めてだよ。さあ、食べよう!」

 田嶋は目的であるはずの〈苦情に対する詳しい話〉には全く触れず、尚美とのひと時を楽しんでいるようだ。

 彼女は〈切り出すタイミングをはかっているのか?〉と思ったが、そうでは無く本当に楽しそうだった。

 2人は公私に渡って様々な話を交わし、グラスを重ねていく。
 いつしか、地酒のビンは2本空になり、3本目が開けられていた。

 店を出た時、2人共したたかに酔っていた。タクシーを待つ間、田嶋が尚美の肩を抱いた。

「…仕事でイヤな事も有るけど…君は戦力なんだから…これからも頼むよ…」

 田嶋は頬を赤く染め、虚ろな目で尚美を見つめていた。



 八〇代庵を出てタクシーに乗った頃、尚美は田嶋のヒザを枕にしていた。

「都田さん。家はどこだい?」

 尚美は田嶋の腿に手を置いて彼の顔を覗き込む。

「エーッ!もう帰るの?まだ10時前でしょう。今度は私が連れてってあげる」

「…でも…君、かなり酔ってるだろう」

「ダ〜メ!帰らない」

 尚美は田嶋を無理矢理タクシーから降ろすと歩き出した。〇〇1丁目辺りを左に進む。

「田嶋さんさあ、私の事好き?」

 一気に酔いが醒め、汗を滲ませた田嶋。まさに〈図星〉だった。
 しかし、夜の闇に彼は助けられた。

「なんだい!やぶからぼうに」

「さぁ、行こ…」

 尚美が田嶋の腕をグイッと引っ張る。そこは繁華街の外れにあるホテル街だった。

「ど、どこに行くんだ!」

 田嶋は抵抗するが、尚美の強引さに負けてホテルに引っ張り込まれてた。
 部屋に入るなり彼女は服を脱ぎだした。田嶋は唖然とした表情でその光景を眺めていた。

 最後の1枚を脱ぎ、全裸になる。

「なにしてんの?早く脱いで」

 尚美は彼の上着を脱がせネクタイを外す。


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