陽だまりの詩 14-7
「…いてー」
頭を抑えながら振り返ってみると、そこには大きな木が。
遠くから美沙が走ってくる。後ろには奏ができるだけ急いで向かってきた。
「兄貴、大丈夫?」
笑いこらえてなに言ってんだお前は。
「……すいませんっ」
遅れて奏も到着。
「俺も後ろを確認してなかったからな。」
俺はゆっくり立ち上がると、もうなんともない、とジェスチャーをした。
「じゃあ、そろそろ飯にするか」
「そうね」
奏はブンブンと顔を縦に振っている。
三人でシートに座り直すと俺は中心に弁当箱を広げた。
その中身を見た二人は驚きの声を漏らす。
「すごっ」
「わぁ」
なんせ朝六時から起きて作ったからな。
「いただきます」
「いっただっきまーす」
二人はすっかり腹が減っていたらしく、かなり早いペースで箸を進めた。
「兄貴は相変わらずすごいなー」
めずらしく美沙が俺をべた褒めする。
「ほめたって何もでねーぞ」
「何もいらないわよ」
「そーかい」
相変わらずだなー、この妹は。
「お腹いっぱいで眠くなっちゃいましたー」
…相変わらずだな…この女の子は…
俺は自然に微笑みながら弁当箱を片付けると、シートの上に横になった。
続けて二人も横になる。
もし、俺と奏が一緒になったら…こうやって三人で川の字になって毎日寝るんだろうな…
陽の光が暖かい…
俺はそのまま深い眠りに落ちていった。