「淫らな弔い」-5
…見られている。
その視線を意識するだけで、舞は下腹部がじゅんっと潤むのを感じた。
慌てて目を逸らし、下を見る。
肩口から顔を出した水色の下着は、舞の胸の形をいびつに変えながら、徐々に全貌を現す。
それは、まるで手品師がシルクハットから連なったハンカチを取り出すかのようだった。
ただ違うのは、下着は舞の凹凸に引っかかりながらしか顔を出せないこと。
布が擦れる度に、舞は自分の胸の先端が高ぶりを増していくのを感じていた。
「んっ…」
最後に大きく舞の胸を揺らして、下着は舞の躯から離れていった。
「これは、僕が預かっておこう」
すかさず伸びた橘の手が、舞の下着を奪う。
「さて、下着はまだ、もう一枚残っているよね」
早くしなさいと言外にほのめかされて、舞はスカートの中に手を入れる。
既に湿り気を帯びたそれを脱ぐのは抵抗があった。
しかし、橘は許してはくれないだろう。
形の良い眉をキュッと歪めると、舞は一息に下着を下ろしていった。
「舞は、随分と焦らすのが上手だね」
最後に左足を抜き取ると同時に橘は言った。
「あまり、男を待たせない方がいい」
平生よりも、幾ばくか低い声に怒りが滲む。
先程と同じように奪われた下着を橘は弄ぶ。
「…随分、湿ってるねぇ」
裏返した下着のクロッチ部分に橘は指を這わす。
「早く入れ込んで欲しくてたまらないんじゃないの?」
蔑むような声に舞は首を横に振る。
「そう?なら、僕を受け入れられるように自分で準備をしてみてよ」
冗談にも聞こえない台詞を橘は吐きつける。
「勿論、制服の上からだよ。これが、ひとつめの補習の課題になるから」
ひとつめ…と言うことは、まだ次もあると言うことだろう。
一体どこまで自分は求められるのか…それを考えただけで舞の頭はクラクラとする。
「…あまり、待たせるなって、さっき言ったよね?」
橘の声に覇気が混じる。
舞は慌てて右手をスカートの中に、左手を胸の上にあてる。
ゆっくりと、指を動かそうとした所で、橘の制止の声が入った。
「始める前に舞こう言いなさい」
囁かれた言葉に舞は頬を染める。
「留年がかかってる君に、拒否権はないハズだよ」
また一歩、舞の逃げ手は封じられた。
尚も躊躇いを見せる舞に橘の表情が険しくなった。
「本当に覚えの悪い生徒だ。待たせるなって、何度教えたら分かるのかな?」
これ以上、待たせてはマズい!
本能で舞は察すると先刻、教え込まれた言葉を口にした。