やっぱすっきゃねん!Ulast-22
「佳代が入部する際、私共は全て監督におまかせすると申し上げました。
まして、今回の状況では非は娘にあります。
その増長した態度を改めて頂き、お礼の言いようもありません」
健司は永井に頭を下げる。
「監督…これからも厳しくお願いします…」
「どう?自分で洗える」
「…だ、大丈夫だよ。このぐらい…」
風呂場の洗い場。付きそう加奈を拒否して、佳代は身体を洗いだした。
「…痛たた…染みるぅ…」
身体には、あちこちにボールの青アザや擦り傷が見うけられる。
なんとか身体を洗い、湯船に浸かって風呂から上がる頃には、いくぶん痛みも引いていた。
慌てたようにバスルームを出ると、ちょうど一哉と永井は帰るところだった。
「コーチ!監督!」
バタバタと玄関前に現れた佳代。
その姿に永井は安堵の表情を浮かべた。
「ずいぶん顔色が良くなったな」
「ハイッ!お風呂で温まったら楽になって」
「明日は朝練無いからな。だからって遅刻するなよ」
「ハイッ!ありがとうございました」
一哉は佳代をジッと見た。
「最後の1球。良かったぞ…」
「…コーチ…」
一哉はひと言を残して玄関を後にした。遅れて永井も帰って行った。
「佳代…」
そばにいた健司が、娘の肩を抱いた。
「野球部の仲間といい、友人や監督、コーチといい、オマエは仲間に恵まれたな…」
佳代はしばらく黙って健司の顔を見た。
そして、満面の笑みを浮かべた。
「そうだね!皆んな大好きだもん」
声を弾ませ、健司に答える。
「そのオマエは、仲間に何が出来る?」
健司は、柔らかな表情を佳代に向けて問いかけた。
…「やっぱすっきゃねん!?」last完…