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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.8-1

雨の匂いがした。

外を見れば濃灰の雲が太陽の脇で雨粒を降らせていた。
しんとした中で雨音だけが強く響く。線の様に降り続く雨は熱された地上にちょうど良い。
大河内は開け放たれた窓際に立ち、くわえ煙草を離して唇を開く。
「夕立の原因は、通常、午前中からの日射により地表面の暖められた空気が上昇気流を生じ、水蒸気の凝結によって積乱雲を形成して降雨をもたらすことである」
煙草の煙と大地が湿る匂いが混じる。大きく息を吐いて背後を振り返る。
「蒸し暑くて湿度の高い午後によく発生する。短時間で雲が出て来て大粒の雨が降るのが特徴。雷や雹が伴うこともある。雨は強いが継続時間は短く、せいぜい二、三時間。範囲は狭く数キロメートル四方程度」
カッ、と薄暗い中で光が瞬く。暫くして落ちる音がし、距離が遠いとわかる。

「逃げ出したいなら逃げればいい。どこまでも」

突き刺さる様に激しい雨の中、ずぶ濡れで走る影。

「どこまでも、行けるもんならな」

ジュウゥッ、苛立つ様に火種が押し潰される音がした。





act.8
 《優しさの理由》





藤塚愛美(フジツカ メグミ)は怒っていた。
紺色のフレーム眼鏡に、二つに分けた三つ編みおさげ。スカートは膝で揃えられ、いかにも模範生徒。
彼女は夕陽に照らされた廊下を歩いていた。顔を真っ赤にして足音を荒げながら、目的地までズカズカと突き進む。
目的地は「化学準備室」だ。そう、例の期末考査に意義を申し立てに行くのだ。


「ふざけないで下さいッ!教育委員会に訴えますよッ」
化学準備室に入って早々この剣幕だ。言われている人物、化学教師、大河内(オオコウチ)は耳に指を入れて騒音を回避している。
「あのなぁ、藤塚。これは教育委員会より警察に連絡する方が適切じゃないのか?」
等ともっともらしい事を呟いて、咥えていた煙草を灰皿で揉み消した。
「とにかく、発言を撤回して下さい」
出鼻を挫かれた愛美だったが、キッと眉をつり上げて睨み付けた。

何をこんなに怒っているかというと、数時間前の化学室での授業の事である。
二週間後に迫った期末テストについて、大河内から馬鹿げた――愛美の口からでは言うことが出来ないほど淫らな――課題を突き付けられたのが原因だ。
N高3年5組、別名「特進クラス」の理系の生徒十五名は為す術も無く、自分にあてられた課題をクリアすべく必死になっている。
そして、その課題はここにいる藤塚愛美にも与えられている。正義感の強いクラス委員の愛美は、課題の撤回を訴えに来た様だ。


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