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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.8-11

「今井君、場所を考えて。加えて私の心配は無用だから。ご心配なく」
「えー、藤塚ヤッたのかよ!?」
大きい声で言う今井の後頭部に丸められた教科書が振り落ちる。
「洋平、デリカシーなさすぎ」
「まあ、今井君らしいって言うか……」
言ってからハッと口を押さえる清水に今井のこめかみがひくつく。
「しーみーずー、テメエが言うのか、あぁ!!?」
ダンッと椅子を蹴り、斜め前に座る清水の机に足をかける。八割冗談だが、今井の腕が清水を捕らえてプロレス技に発展する。
ぎゃあぎゃあと小学生並の戯れに、またか、と愛美はため息を漏らした。

「で、ヤッたの?」
こそっと耳元で囁く太刀川に愛美は目を丸くする。
長身で長めの髪を一つに結んだ太刀川は爽やかなイケメンだと女子に好かれている。そんな太刀川に距離感ゼロで囁かれるとは。自然と赤くなる頬が恥ずかしい。
「別に、太刀川君にも関係ない」
「ふぅん、残念。初めての委員長に興味あったんだけどな」
「太刀川く…」
「そこっ!!!浮気してんなッッ!!!!!!」
激怒と共に太刀川に向かって投げられたペンケースは清水の物で、勿論余裕で避けられたために派手な音を立てて床に落下した。
「俺の、ちょっ…」
「ふざけてんのか、この見境無しのスケコマシがっ」
「今日、の洋平、って大胆、じゃん」
胸倉を掴まれがくがくと首を揺さぶられながらも太刀川は笑う。
収拾の難しい状況に、はああああっ、と更に深いため息を吐き愛美はこの馬鹿達をどうしようかと頭を抱えた。


「じゃあ、明日もう一度確認するから」
くたびれ顔のそれぞれに課題を残し、なんとか本日の補講を終わりにして、愛美は今日も生徒会室へと向かっていた。
だが
「お、藤塚、良いところに」
廊下で呼び止められ、振り返ると鍵を提げた初老の男性教諭が笑っていた。
「今井達の勉強は進んでるか?」
あの騒ぎが聞こえていたのだろう、肩を竦めて「また明日も頑張ります」と答えた愛美に苦笑を返した。
「そうか、すまんな。これから帰るのかい?」
「いえ、生徒会室にでも、と思って」
自分もテスト前なので、と愛美は眉を下げた。
「じゃあ…すまんが、ついでに頼んでもいいかな?」
そう言って手に提げていた鍵を渡した。
「この歳になると三階はきつくてな。化学室の大河内先生に渡してくれないかい?」
大河内……なんてタイミングの悪い頼みだろうか。昨夜の事があったから、わざと近付かないと決めていたのに。
しかし。
手渡されてしまった鍵は、今日も見回り当番の大河内に必ず渡さなければいけないものだ。頼んだ教師も遠くヘ歩いていく。右足を軽く引きずって歩いている様子に、嫌だと言って突き返すのは我が儘だ。

「仕方が無い、か」

自分に言い聞かせるように呟いて階段を上る。
今日も暑い、いい天気だ。踊場の窓ガラスから陽射しが容赦なく入り込み、愛美の目が細まる。影が長く伸びていた。


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