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初恋のハジメ方
【初恋 恋愛小説】

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初恋のハジメ方 act.3-3

「それにしても柚子は教えるの上手だね。」

一息つきながら彼が尋ねてきた。突然の自分に向けられた賞賛の言葉に柚子は照れてしまう。

「そんなことないよ! 優人君の覚えがいいから……」

そして照れ隠しのように温くなってしまった紅茶を口にした。そんな柚子を見て優人は笑みを浮かべながら飲み物に口をつけた。

(なんていうか、かっこいいよね……)

前々から思ってはいたものの、改めて彼のキラキラとした微笑みを目の前にし、柚子はさらに照れてしまい顔を赤くしてしまった。それを見て彼はクスクスとさらに笑うのだった。

「そっそれじゃあ再開しようか!」

赤い顔のまま慌てたように柚子は再開を促した。恥ずかしいのをごまかすのが目的だった。

「わかりました。柚子センセ?」

少し柚子をからかうような笑みを浮かべ彼はそう返した。
そこからまた2人の勉強会は始まった。




その後さらに勉強を重ねて2人がお店を出るころにはもうだいぶ夜も更けていた。

「だいぶ遅くなっちゃったね。」

すっかり暗くなってしまった空を見上げ彼は言った。

「そうだね。 でもこのペースならテストの範囲くらい楽勝だよ!」

にこりと笑いかけた柚子を見て、優人は顔をそらした。どうしたのかと彼を見るも外の暗さのせいでよく見えなかった。
「どうしたの?」

柚子の声でようやく我に返ったのか、優人が柚子の方を慌てたように見た。

「いやっ! なんでもないよ!」

彼がなんでもないと言うのだからと、それを素直に受け止めて柚子は気に留めなかった。

「そう? じゃあこれからも手伝うからテストまでしっかり頑張ろうね!」

柚子がそう言うと彼は少し驚いたような顔をした。

「え? これからも勉強見てくれるの?」

「うん。だってこのままじゃ中途半端でしょ? その……迷惑だったかな?」

途中からは段々と小さく消えてしまいそうな声で柚子は言った。そんな柚子の態度に優人はそんなことはないと否定した上で、

「迷惑だって思ってるのは見てもらっているこっちのほうだよ! ホントにいいの?」

「うん。私は構わないよ。 だから頑張ろうね!」

「じゃあよろしくお願いします。」



その後彼と別れて柚子は一人帰り道をあるいていた。
勉強会という名目はあるが、いつもより彼との接点が増えた――――。
それがなんだか嬉しくて一人柚子はにやけてしまう。

(これでこのあいだのお礼も出来る! そうだ!帰って次の勉強会に向けて予習でもしておこうかな……)

そんなことを考えながらいつもより楽しい帰り道を少し急いで歩いていった柚子だった。
  ……To be continued


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