僕らの日々は。〜星に願いを〜-1
今日は七月七日。
七夕です。
織姫と彦星が一年に一度出会うことのできる特別な日。
一葉と春風の学校では、学校行事の一つとして今年もクラスに一本笹が配られ、願い事を書いた短冊を吊しているようです。
というワケで、ちょっと覗いてみましょう―――
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「春風ー、書いた?」
「ん。一葉は?」
「もちろん書いたわよ。こういうのは迷わずサクッと書いた方がいいしね」
「そういうものなのかな?」
「そういうものなのよ。さ、書いたなら吊しましょ」
そう言って笹へと近寄る。笹は窓際に立てかけてあった。
「今年は晴れたし、多分天の川が綺麗に見えるわね」
「そうだね。去年は曇ってたから見えなかったし」
「残念だったわよねぇ……あ、これ夢逢のだ」
一葉がおもむろに吊されていた一枚の短冊を手に取った。
「一葉。人のを勝手に見るのは良くないよ?」
「いいじゃない、別に隠すでもなくこうやって一般公開してるんだし。えーっと、なになに……」
『去年は曇りだったから、今年こそ晴れて織姫と彦星が会えますように! 満月 夢逢』
「んー、なんとも夢逢らしい願い事ねぇ。カワイイ奴め」
「自分の願いで他人を応援するなんて、確かに満月さんらしいね……あ、これ狭が書いたやつだ」
「狭君の?面白そうね、何て書いてある?」
『馬鹿だな夢逢。曇りだろうが何だろうが天の川は雲の上にあるんだから、晴れてようが曇ろうが二人には関係ねーよ。 遊月 狭』
「会話してやがる!」
「もはや願い事じゃないわね、狭君の」
「アホだなあいつ……ん、これは……安良のか」
「安良君はなんて書いてるの?」
「えーっと……」
『馬鹿はお前だ狭。七夕の短冊なんだからちゃんと願い事を書け。 深峰 安良』
「お前もしっかり会話してんじゃん!」
「ミイラ取りがミイラになってるわね……あ、灯の発見」
「真白さんは何て書いてる?」
「えーっと……あれ?なんか矢印で安良君と狭君の短冊を指してるわ」
『このバカ二人が星になりますように。 真白 灯』