冷たい情愛Die Sekunde 最終話-14
「彼女は、いつも真剣に人生を歩んでいました」
ただひたすら、先生に追いつきたかったあの頃。
「その2年後、遠藤くんが入学し…私たちの仲間になりました」
多感な時期…彼が苦しんでいたあの頃。
「彼は本当に努力家で、純粋で…私が彼氏にしたかったくらいで…」
智子が少し悔しそうな顔をすると、会場の来賓たちは笑い始めた。
「遠藤くんが、紘子さんと初めて話した時なんて、顔が真っ赤になっていたんですよ」
酔った親族が「若いね〜!」と大きな声。
「まさかその二人が、結婚することになるなんて…想像すらしていませんでした」
誰が、今の私たちを想像出来ただろう。
「運命…とは大袈裟かもしれません」
人と人とは、どこかで繋がっている。
「でも…運命とは…」
私は、友の言葉に真剣に耳を傾ける。
「偶然から始まり、お互いを理解し合いたいと努力した結果なのかもしれません」
ふと、横に座る彼の方を見る。
彼は、真剣に智子の言葉に向き合っている。
そして…私の視線に気付いた彼は、私にいつもの笑顔を向ける。