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Not melody from you
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Not melody from you
:Side-heavy
-11

おまけ兼あとがき

ドッペルゲンガーファルセット


寝ている彼の横から、ぼくはこっそり携帯電話を拝借した。
この文は作者のドッペルゲンガーであるぼくが筆を取っている。
信じる信じないはもちろん皆さんの自由だ。
この文章はただのフィクションなのだから。
まずはそんな事を最初に書き記しておきたいと思う。
今から書くのは作者のドッペルゲンガーであるぼくの独り言である。
今、ぼくは天の川を眺めながらこの文章を書いている。
ぼくの住んでいる地域は結構田舎で、多分都会よりは少し星が綺麗に見える。
本体の方はどうか知らないがぼくは星が好きだ。
夜空から星が消えたら、かなり寂しくなると思う。
といっても、星の名前や星座の名前は殆ど知らない。
星の名前を覚えてしまえば、その星を見る度にその名前がチラついて、何だか素直に星を見れない気がする。
星座はどう頑張ってもぼくには白鳥や牛の形に見えない。
なので星と星座の名前は意識的に覚えないようにしている。
変わりに、ちょっと変な事を考える。
星や月はいつもあそこにあるけれど、自分からあそこに浮かびたくて浮かんでいるのかな、とか、やっぱり仲の悪い星と仲の良い星があるのかな、とか。
ぶっちゃけた話ただの変態だ、本体の影響かもしれない。
星について変態チックな事を考えるのは、当たり前だけど夜だ。
本体が寝た後、ぼくは一人抜け出してベランダに行ってタバコをふかしながら星を眺める。
本体の方は一応未成年であるが、ドッペルゲンガーにまで法律は及ばないだろう。
ぼくがこうして自由になれるのは、夜だけだ。
昼間は、ぼくは動けない。
本体も、言ってしまえば世間も、忙しそうにあちらこちらへと動いていて、ぼくが顔を出す隙間なんか、昼間のどこを探しても微塵も見当たらない。
それは何かを必死に成り立たせようとしているようにも見えるし、見たくない何かを見ずにすむようにしているようにも見える。
いずれにしてもドッペルゲンガーであるぼくには、それが喜ばしいのか悲しいのかもよく分からない。
昼間はいつだって、ぼくは本体の中に気配を消して潜んでいる事しかできない。
時々、ぼくはそれに飽きて、無理やり本体から出ようとしてみる。
だがそうすると、本体がそれを必死に止める。
お前さえ出なければ全部上手くいくんだ、お前さえいなければ。
そんな事を言って、ぼくを押し込める。
ぼくにはその意味がよく分からなかったけれど、言われた後、何故だか異様に落ち込んだ。
そして、言った本体も何故か落ち込んでいた。
多分、本体の住んでいる世界は、きっとぼくがいない方が上手くいくんだろうなぁ、とぼくはぼんやりと思って、また少し悲しくなった。
同時に、もったいないなぁ、とも思った。
夜しか動けないぼくと違って、本体は昼間の綺麗な物を沢山見る事ができるのに。
太陽の光を浴びれるのに、花を見れるのに、風を感じられるのに、沢山の人と話ができるのに。
それなのに、一体何故、本体はあんなに笑ったり優しくしたりする演技ばかりするのだろう。
ぼくには分からない。


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