形は変わっても、変わらないモノ-3
『俺、どぉしたらいい?』
「自分では決めてるんでしょ?」
精一杯、聞いてみる。
『だけど、お前はどぉなるの?』
「ぢゃあ子供はどぉするの?」
思わず口調が強くなった。
あなたには、人として間違った事はして欲しくない。私の事をすべて知ってるあなただから、私の言う事はわかってくれるはず。
『俺、お前が大事なんだ。ほっとけないんだよ!』
その言葉だけで嬉しいから。
だから間違わないで。
あなたの口から堕ろすなんて話はしないで。
きっと、お互いに言わなくてもわかってた。
この5年のうちに私達はお互いを知りすぎて、同じ時間を過ごしすぎた。
お互いに頼りすぎて、なくてはならない存在になっていたのに、気付いていながら依存していた。
いつかふりだしに戻さないといけない関係だと、心のどこかで思いながら…
これは多分、やっと時間が来たんだね。
あなたと私がお互いに依存をしすぎないように。
なくてはならない存在になってからぢゃあ、出てくる問題も大きすぎるから。
自分は何も持たない方が自由で気楽。
なんて言ってたあなたを強引にでも引き留めておいてくれる相手がいて良かった。
私はそう思うよ。
空も明るくなって、星も見えなくなってきた頃、
あなたは珍しく私の体を抱き寄せて、強く強く抱きしめてきた。
私はあなたの背中をずっと撫でるしか出来なくて。
あなたの頭が乗っている肩が少し濡れてきたのに私は気付かないフリをした。