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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 《風神篇》後編-8

「皇子?」

「さっきの爆発、結界石の所からじゃなかったか?」

自然と二人の足が止まった。カルサの表情に迷いが見え始める。

このまま、リュナを優先して進んでいいのか。

しかし先に進まなければ、ただ防戦一方になるだけ、それは目に見えている。それぞれの思惑がこの襲撃を利用して開花され、突き進んでいるような気がした。

大きく付けられた傷が痛む。

ふいにカルサの目の前に光の精霊・桂が姿を現した。

「桂?」

桂は軽く頷くと、そのままカルサをじっと見つめた。次第にカルサに微笑みが戻る。

「そうか、頼む。」

カルサの言葉に桂は姿を消した。カルサは振り向き、不思議そうな顔をしている千羅に伝えた。

「桂が、風の精霊・社を探してくれるらしい。」

「そうですか。では、私も榎に協力してもらった方がいいですね。」

「地の精霊か、そうだな。」

カルサの言葉に頷くと、千羅は屈み床に手を当てた。

「榎。」

えのき、という声に反応し地鳴りをたてながら床から小さな地の塔が現れた。よく見ると獣の顔つきをしている。

「榎、協力してほしい。サルスを探してくれないか。」

少しの間の後、千羅のお礼の声が聞こえ、榎は再び大地に戻っていった。

千羅は体を起こしカルサに向き合う。これでリュナとサルスは手を打った。そりぞれの門は瑛琳に任せてある。あと残るのは。

「あとは聖と紅奈ですね。」

「どこかで交戦しているのかもしれない。」

彼らの方にはその可能性が一番当てはまった。しかし、ナルの一件を考えると紅奈は生きているかも分からない。

「千羅、ナルは?」

「異空間の祭壇に。ラファルがついてくれています。」

千羅の声と共に思いを馳せた。まだすぐには行けない、だけど代わりにラファルがついてくれている。少なくとも今、あの優しい場所にナルはいる。

それだけでカルサは救われた。

「そうか。」

一人では抱えきれないことが、次々と仲間の力を借りて拾ってゆける。

「皇子、もう一度この城周りに結界を。」

「ああ。」

千羅の声に頷き、カルサは結界の為に自らの力を解放した。その波動は空気を震わす。


ドン!!


突然の衝撃に思わず体が揺れ、態勢を崩した。


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