やっぱすっきゃねん!UF-9
「実はその事なんですが……いくら大学でやってたと言っても、所詮女子野球です。 その私が藤野さんのような高いレベルでやられてた方の後任に就いて、はたしてやっていけるのか不安で……」
思わず本音を漏らす。 だが、一哉はそれを一蹴する。
「私も同じでしたよ。 23歳で社会人野球を辞めて子供達に教えるようになりました。 でも、野球は知ってても教え方が分からない。 当時はたくさんの指導書や参考書を買い漁ったモノです」
続くように永井が笑顔で葛城に話掛ける。
「私も肩書きでは監督ですが、野球は素人同然です。 ですから、アナタの意見をドンドン言って下さい。 それこそチームにとっては必要な事ですから」
永井と一哉の意見を聞いた葛城は、このチームならやっていけそうだと思うのだった。
───
「やっと終わったぁ!!」
佳代は席を立つと有理の席へと向かった。
「有理ちゃん、ありがと。 おかげでずいぶん出来たよ」
「そう言ってもらうと教えた甲斐があったわ」
有理は笑みを向ける。
「お礼に何かおごるよ」
「ごめんなさい。 この後、生徒会の話合いなの…」
今週始めから始まったテスト期間も終わり、禁止されていた部活も明日から再開される。 佳代にとっては久々の完全オフの日だ。
「尚ちゃん、有理ちゃん生徒会の話合いなんだって」
すると尚美も両手を合わせる。
「ゴメン!私もバスケ部の話合いで帰れないの」
「エッ、尚ちゃんもダメなの?」
「うん。 さ来週有る練習試合の件で、ミーティングがあるのよ」
仕方なく佳代はひとりで学校を帰って行く。 自転車で正門を渡り、前の道を右に曲がると自宅へと向かった。
「あ〜あ…、せっかくの休みに独りぼっちだなんて。 仕方ないや、明日からに備えて修と練習するか」
佳代は独り言を言いながら自宅へと帰って行った。