やっぱすっきゃねん!UF-7
(なるほど… )
「永井さん!私も走って来ます」
葛城も永井にそう言うと、 1周遅れで部員達の中に加わった。 それを見た一哉がニヤリと笑う。
(案外、彼女なら務まるかもなぁ… )
「ラストッ!」
部員達がペースを上げる。 だが、それ以上に一哉も葛城もペースを上げた。
一哉は中団辺り、葛城は後を走っている。
「何をチンタラ走ってんだ!追い抜くぞ!」
一哉はしきりと前を煽る。 すると、精一杯で走ってるハズの部員達のスピードがさらに増した。
次々とゴールする部員達。 激しく息を切らせているが、倒れ込む者はいない。 一哉も息を整えながら葛城の方を見た。 彼女は激しく息を切らせて跪いていた。
(まぁ、最初だからこんなモノだろう )
一哉が部員達を注意する。
「身体が冷えるぞ。 さっさと水分補給してストレッチだ」
一哉は部員達に水分補給を促すと、グランド中央に集めて次の練習に向かわせる。
(…エッ、もう再開するの…? )
葛城は絶え々の息で部員達の練習を見守るのだった。
───
夕方。 部員達が帰って行く中、永井に藤野、それに葛城を含めた 3人は職員室のソファで寛いでいた。
「ところで監督。 来年のピッチャーについてなんですが…」
開口一番、一哉が言い放つ。
「 2年生は直也ひとり。 後は中里と立石の 1年生ですから直也への負担が大き過ぎます。 出来れば 2年生をあと1〜2人欲しいですね」
「…そうですねぇ…」
永井が腕組みをして思案顔をする。 葛城は両方の顔を見ながらおそる々言った。
「あの…橋本君なんてどうです?彼は 180近い身長ですし、外野手だから飲み込みは早いと思いますが…」
「そりぁ良い!」
永井が思わずヒザを叩く。
「直也も今年の夏までセンターやってたから入れ替え易いでしょうね。 2人共右だけど、この際仕方ないでしょう」
2人の意見に頷く一哉。
「じゃあ決定ですね。 淳には明日言って、ピッチャーの練習に切替えさせましょう」
自分の意見が聞き入れられた葛城は、笑みを湛えて気を良くした。 そして、今なら良いだろうと一哉に訊いた。