陽だまりの詩 11-5
兄貴が彼女を連れてきた。
今までに何度か彼女ができたことは聞いていたけど、あたしに紹介した人は初めてだった。
アキさんという、大人っぽい人。
でも、話してみると子どもみたいで可愛かった。
兄貴はあたしの前でもアキさんとベタベタしていて、すごく悔しかった。
アキさんよりあたしのほうが兄貴のこと好きなのに。
意地悪したかったけど、我慢して仲良く振る舞った。
兄貴はそのほうが喜ぶと思ったから。
今考えると、兄貴にいつもロリコンなんて言ってるけど、あたしのほうが何倍もブラコンだ。笑っちゃうね。
兄貴をシスコンに仕立て上げたのはあたしだけど、あたしがこうなったのも兄貴のせいだ。
なんて、兄貴のせいにしてみたりして。
しばらくして、兄貴からアキさんと別れたことを聞いた。
何だか複雑な事情があったみたい。
内心は嬉しかったけど、その日、兄貴はずっと泣いていた。
あたしは耐えられなくなって兄貴を抱きしめた。
兄貴にはあたしがいるよ、ってたしか言ったと思う。
そしたら兄貴は笑ってくれた。