陽だまりの詩 11-3
兄貴がうれしいことを言ってくれた。
就職先が決まったから二人で暮らそう、と。
あたしは兄貴に飛びつき、何度もほっぺにチューをした。
あたしは既にその頃にはキスの意味も理解してたけど、我慢できなかった。
やっとこの忌まわしい家から出られる。
それも兄貴と二人で。
あたしは兄貴のお嫁さんになるんだ。
そうに違いないと思っていたから、家事を覚えることにした。
実は、それ以外にエッチなことも勉強した。
もう自分の中に兄妹という概念はなかったから。
無論、勉強の成果を発揮することは一度もなかったけど。
兄貴が借りたアパートは、二人にはもったいないくらい広かった。
ワンルームでもよかったのに、兄貴はわざわざあたしの部屋も用意してくれていたのだ。
あたしは兄貴との雑魚寝が好きなのに。
兄貴の腕にくっ付いて、兄貴の匂いに包まれて眠るのが幸せだった。
でも、それでも何より、兄貴がまたあたしのことを一番に考えてくれた。
それが嬉しかった。
それからは毎日、急いでアパートに帰って家事をするようになった。
兄貴は働いてたから、家のことはあたしが頑張らないと。
そう躍起になっていた。