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水泳のお時間
【その他 官能小説】

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水泳のお時間〜2時間目-5

「こ、これはその…」

頭が真っ白になった。
それでも確かに分かるのは、上下左右とも全て逆に持ったままのビート板。
わたしってばついボーッとしたりして、瀬戸くんから無意識にビート板を受け取っていたこと、気づかなかった。
怒っているのか、それとも呆れているのか、目の前では瀬戸くんが腰に手を当てた姿でわたしを見ている。

あぁもう。わたしのバカ…
自分の不甲斐なさにそのまま何も言えずにいると、瀬戸くんが歩み寄ってきた。

「どうやら忘れんぼの桐谷には、俺が根気よく指導してあげないとダメみたいだな」

ふいに聞こえた瀬戸くんの言葉に、わたしの体がビクリとふるえる。
何かを感じ、とっさに後ろを振りかえった時にはもう、瀬戸くんが既にわたしの背後に立っていた。

「えっ…」

あまりの近さにビックリして、思わず声がうわずってしまう。
どこを見ればいいのか分からず、そのままキョロキョロしていると、瀬戸くんは静かに微笑んだ。

「そうやって、よそ見してたりしたらまた忘れちゃうよ」
「瀬戸く…」
「ほら、ちゃんと持って?」

ドクン。
わたしの声をさえぎって、まるで息を吹きかけるように瀬戸くんが甘く囁いた。
そのままわたしの手の甲に重なる、瀬戸くんの大きくて細長い指先。
その瞬間ふいに私の頭をよぎったのは…昨日の忘れられないような体験…。
しばらくして瀬戸くんの指先が静かに動いたかと思うと、その手はわたしの腕を通り、肩…そして鎖骨へとおりていく。
しまいにはその下の膨らみにまで伸びてこようとして、ふいにその場所を掴まれた瞬間、わたしの体がビクリとふるえた。

「…!」
「どうしたの?ほら、早く練習しないと」
「えっ…は、はい…っ」

ビックリして思わず後ろを振り向いたわたしに、瀬戸くんが目を細めながらどこか余裕を含んだ表情を向ける。
気がついた時にはもう瀬戸くんはわたしの体から手を離していて、わたしは慌てて目線をプールに戻すと握っていたビート板に力を込める。
そして彼に言われるままつま先でプールの底をがんばって蹴り上げると、昨日言われたとおり腰をあげて泳ぐ事を意識しながら水中で足を上下に動かしてみた。

「うん。昨日よりは上手くなったかな」
「瀬戸くん…!」
「でもこれじゃ無駄に水しぶきをあげてるだけで、全然進めてないね。足首に力が入ってるし膝も曲がってる。これじゃ意味ないよ」
「そ、そんな…きゃっっ!!」

その瞬間、瀬戸くんは片腕でわたしのお腹を抱えあげたかと思うと、もう片方の腕でわたしの膝を持ち上げてきた。
離してはダメだと、昨日あれほど言われたはずなのに
出来損ないのわたしはやっぱりビート板を手離してしまう…。


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