振り向けお前っ!第5話〜友の過去、これからの自分〜-6
「輝の家の中はこんな風になってんのか・・・」
「初めてだもんね。」
「そのくせ俺の家の中は勝手に親がどんどん入れるから見放題だけどな。」
「悠太の家だって入ったけどよくは知らないよ。」
リビングらしき部屋で話していると奥から輝がお茶をコップに注いで持ってきた。
それを受け取って礼を言いながら尋ねる。
「そういやさ、よく俺たちと居るけど学校は慣れたか?」
と、聞くと輝が軽く笑って
「うん、一応はね、皆よくしてくれるしあんまり困らないかな?」
「ならいいけど、俺たちとよく居るから他の人と打ち解けることが出来ているのかと思ってな。」
「何でそう思うの?」
「あれが居るから・・・・・」
「あぁ・・そういうこと。」
電話がかかってくる。
「げっ、阿佐美からだ。まさに噂をすれば何とやらだな。」
「それより出たら?」
少し悩んで後が怖いから出る。
「もしもし。」
[あんた今何処にいんのよ。]
「へ?なんで?」
[何でじゃないわよ、学校であんたが寝てる間に辞書借りてそのまま返すの忘れてたから返そうと思って家行ったらいないじゃないの。]
・・・・・・・その時思考回路が一瞬で回った。阿佐美に今ここに居ることを伝えたら絶対に飛んでくる。
「あぁ、少し用事あってな、ところで何故に勝手に借りる?」
[いいじゃない、どうせ寝てたんだし。]
別の理由もあるんだが・・・・あえて言わない。前から読んでる読者の皆様には察しがつく人も居ますでしょう。
「眠らされたんだよ。お前に。」
[でも、ちゃんと返しに来たんだからいいでしょ!]
「屁理屈じゃん。」
[何か言った?]
「いえ、何でもございません!でさ、俺しばらく帰らないから、親に渡しといて。」
[分かった。じゃあ]
「うん。」
通話終了。
隣で輝が楽しそうに見てる。