腐肉(その4)-1
それは、僕が初めて見た蕩けるような叔母の縛られた裸体だった…。
あの日は朝からずっと雨だった。定休日という看板のかかった叔母の小料理店の勝手口から僕
は合鍵で中に入った。そして叔母のいない部屋にいつものように忍び込むために扉を開けようと
したときだった。奥の倉庫部屋からその鈍い物音は聞こえてきたのだった。それは確かに肉肌を
打つ鞭の不気味な音と交互に聞こえてくる叔母の呻き声そのものだった。
そして僕がその倉庫部屋のとなりの物置の壁のすき間からそっと中を覗いたときだった…。
…縄がよく似合う体だな…女将…
男は薄笑いを浮かべ、うなだれた女の頬を掌で撫でながら言った。
窓のない倉庫部屋は黴臭かった。そして剥き出しの裸電球が女の緊縛された蒼白い裸体を妖し
く照らし出していた。
天井の黒く煤けた木造の太い梁からは幾本もの麻縄が垂れ下がり、後ろ手に縛られたやや小太
りの女の裸体を不気味に吊り上げていた。そして女の肉感のある白い豊満な乳房を上下に挟むよ
うにきりきりと幾重にも縄が喰い込み、白い乳肉を搾りあげるように厳しく緊めあげていた。
女の肌をめくりあげるように鋭く喰い込んだ麻縄が、この女の体の弾けるような熟した肉づき
を示していた。
そして女は、そのふさりとした濃密な繁みに覆われた秘丘を前に突き出し、むちむちとした白
い太腿を左右に割り裂かれ、床にわずかに爪先を着けて伸びきった両脚の細い足首は、その足元
を大きく開かれ、錆びた鉄のパイプの両端に痛々しく縛りつけられていた。
女の腰に伸びた縄は形のいい臍から腹部へ肌を緊め、恥丘の漆黒の草むらを這うように股間の
割れ目にしっかりとくぐっていた。その股縄はしっとりと濡れた女の汁の臭いが立ちこめるよう
な淫毛を絡め、その陰唇をねじりながら深く裂いているようだった。
男はでっぷりと太った腹を突き出し、ベルトの弛んだズボンを身につけたまま上半身裸だった。
そしてその手には、蛇の鱗のような革の鞭を握っていた。
ビシッ…
男の鞭が女の白くねっとりとした豊かな尻肌に鋭く振り下ろされると、その女の肌が艶めかし
く波を打った。
…あぅーっ…
女は首をのけぞらせ苦悶の嗚咽を洩らした。女の熟しきった脂肪を帯びた乳白色の尻肌は赤み
を帯びたような光沢を放っていた。男はその熟した情感に溢れた白い潤みのある女の肌を鞭で執
拗にいたぶることに痺れるような嗜虐心を感じていた。
ビシッ…ビシッ…
鞭が女の尻に振り下ろされるたびに、縄で緊めあげられた豊満な白い胸のふくらみが揺れる。
女は豊かな臀部から伸びた白くむっちりとした内腿を摺り合わせるように悩ましく下半身を捩
るのだった。
四十歳を過ぎた女の目元には少し小皺がよっているが、その甘い瞳を肉欲に酔ったように潤ま
せていた…。いつもは綺麗に結い上げた黒髪が解かれ、汗を含んだ白い首筋に妖しく髪を絡めた
女は、男の目の前で肉の苦痛の悦びに甘美な嗚咽を洩らしていた。それがいつもの女とは別人の
ような生々しい淫乱さを見せているようだった。
女は、男があの少年を追いながらふらりと寄った小料理屋の女将だった。