冷たい情愛Die Sekunde-4-13
「二人は…今、幸せなの?」
私は先生と義姉の今を訊ねた。
先生はきっと…
優しい父親になっている…
可愛いわが子にお菓子をねだられ、妻に叱られ…
「二人とも、亡くなったんだ…」
「え?」
「二人で乗った車が、対向車と正面衝突したんだ…」
亡くなった…
「先生が義姉を愛することなんて無かったのかもしれない。死ぬまで…」
きっと彼は抱えているに違いない。
先生の更なる誤解を招き、義姉を傷付け…愛し合わないまま亡くなった…
二人への自責。
「随分長い時間、かかっちゃったね」
彼はそう私に告げた。
それは、今話し続けた時間のことなのか。
それとも…話せるまでにかかった年月のことなのか。
「これで、隠していることは…もう何もないよ」
彼は、人生の終焉を迎える老人のように…そう呟いた。