冷たい情愛Die Sekunde-2-10
「あれの時は…すぐに我慢できなくなるのに、アルバム見たいのは我慢できたんだ」
言いながら、彼は笑い続けている。
彼の言葉の意味を把握するのに、私は少し考え込んだ。分かった瞬間、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「ちょっと、酷いよ!バカ」
「本当のことだろ?」
彼は、ますます笑っている。
我慢できなくさせてるのは、貴方でしょ…と突っ込みを入れたくなる私。
良かった…昨夜は、母親と喧嘩したから…あんな彼だったのかもしれない。
私は、少し安心した。
「俺さ、中学の頃、すごく悪かったんだ」
彼が始めて、高校以前の自分の話を口にした。
「ええ?高校時代は、真面目だったんでしょう?」
「覚えてないくせに」
彼はいじわるそうに言う。
「智子に聞いたの!」
「先輩も、どうでもいい事はペラペラ話すなあ」
確かに、智子は余計なことは話すくせに、肝心なところは抜けている。
「私の友達悪く言わないでよー」
怒ったフリをすると、彼も演技じみた言い方で「悪かったよ、俺が悪い」と大げさに謝ってくる。
「今となっては恥ずかしいけど。どうしようもなかったんだ」
バイクを乗り回し、学校中のガラスを割り…
窃盗はする…
同級生から金を巻き上げ…
暴力沙汰も日常茶飯事だったそうだ。