フリースタイル1-4
「実香ちゃん、大丈夫?」
kyouzさんが心配した顔で水を差し出す。
ふーん…意外に優しいんだ…
「大丈夫です」
すると、kyouzさんがあたしの腕を引っ張って走り出した。
「ちょっ!kyouzさん!」
「恭介!」
「えっ?」
「俺本名、恭介!恭介って呼んで!」
「きょ、恭介?」
「はぁい♪」
急に立ち止まるからあたしはよろけてしまった。
でもそんなあたしにはお構いなしに恭介さんは笑顔で言う。
「実香ちゃん、なんか歌ってよ」
あたしはこのマイペースさに完璧ついていけてない。
「あっ、じゃあリクエストしちゃお♪星に願いを!俺この曲まじ好きなんだよねー」
恭介さんが軽く口ずさむ。
この曲は、
あたしも大好きな歌だった。
あたしは無意識のうちに恭介さんに合わせていた。
すると恭介さんはあたしの歌に合わせてラップし始めた。
星に願いを
君に笑顔を
何でも叶うわけじゃないから
夢でも願うだけじゃないから
明日何人が笑って
明日何人が泣くのかを
この星だけが知っているのだろうか
星に願いを
君に笑顔を
「フリースタイル」
恭介さんが満面の笑顔で言う。