振り向けお前っ! 第4話〜気弱なあの人〜-5
ビュ!風を切る凄い音がする
「あぁ・・悠太、ご愁傷様。」
パァーン!
「なっ・・」
「俺なんかどうせ―――」
「あ、また自分の世界に・・」
「へぇ、面白いじゃない。」
何故か知らないが楽しんでる阿佐美。
そこに進一が気付いたように薫の元に寄っていき。
「ここ危なくなるからこっち来て、と誘導する。」
「え・・あ・はい」
今まで自分の事を忘れられポカーンとしてた薫が急に我に帰り、進一に引っ張られていく。
安全なとこまで来ると薫が口を開く
「あ・・あの・・2人は止めなくていいの・・・ですか?」
「そのうち悠太が引きずられて帰ってくるから、待ってて。」
「進一君、ちょっ・・来て。」
「どうし―――」
その目に写る光景は悠太が阿佐美相手に一歩も動かず全部の攻撃を受け流している姿が。
「え?てかこれ恋愛物ですよね?なぜバトルに。」
「作者が暴走しちゃってるからだろ。」
「え?作者?何の事ですか。」
「俺もよく分からない。」
「・・・・・・・・」
(はい、記憶消去。)
「あれ、どうやって止める?」
「・・・・・・そっとしておくってのはどうです?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「一発殴れば戻ると思うんだけどな。」
「はぁ。」
そう言ってても2人は戦いをやめない。
「あ、そうだ何か硬いものないか?」
「チョークなら。」
「何で持ってんだよ。」
「さっき黒板に係の仕事で知らせ書いててそのまま持ったまま来ましたから。」
「まぁ、いいや貸して。」
「はい。」
すると進一はチョークを悠太に向かって思いっきり投げる。