陽だまりの詩 6-2
翌日、奏の病室で談笑していたとき、ふと気になることができた。
前に奏は、検査入院だからしばらくしたら退院すると言っていた。
いつまで経っても退院しないのを見ると、まさか奏の体もよくないのではないか。
突如、頭の中に出現した不安を取り除こうと、奏に聞いてみる。
「なあ、奏」
「はい?」
目をまんまると見開いて首を傾げる。
つい真面目な声になってしまったから、驚いたらしい。
「前にしばらくしたら退院するって言ってたよな」
「あ、はい」
こくっと頷く。
「もしかして…いつまでも退院しないのは、体が悪いとかじゃないよな?」
「…」
黙ってしまう奏。
まさか…本当に…
「黙っておこうと思っていたんですが、春陽さんに内緒であることを始めたんです」
「あること?」
「はい、明日の午前中、病院に来れますか?」
明日は土曜だし問題ない。
「ああ」
「じゃあ明日、ロビーで待ってます」
奏はニコッと微笑んだ。
一体なんなんだろう。
ワクワクする反面、一抹の不安はいつまでも拭えなかった。