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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 5-8

***

ふう、息をつく。

ここまで長い昔話を、淡々と語ったのは久しぶりだ。

最後に誰かに話したのはいつだろうか。

思い出せない。

それだけずっと心の奥底に仕舞っていた俺達兄妹の過去。


奏は嫌な気分にならなかっただろうか。

ちらりと奏を見やる。


予想通り、奏は涙していた。


「春陽さんと美沙ちゃんは…過去にそんな悲しいことを背負って今まで生活していたんですね…」
ずずっ、と鼻をすすっている奏。



俺達のために泣いてくれる奏。

暖かい奏。

俺にとって大切な奏。


「っ…ぐっ…」

俺は泣いてしまった。
いい年してここまで号泣するとは…
恥ずかしいから顔を腕で隠して嗚咽を漏らす。


「春陽さん、涙を抑えこむことなんてしなくていいんですよ」

奏は泣きながら俺の頭を撫でてくれる。

その暖かい手で。

「うっ…ぐ…あぁ…」

俺はかなりの時間、それこそ時間を忘れるまで泣き続けた。


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