約束…2-7
「え…まさか…」「えー?!」とキャーキャー騒ぐ声。
「出よう?やだー」
そんな声がして、何人かのパンプスの音が遠くなっていく――
真鍋はあたしの口元から手を離した。
「真鍋…」
気づくと、あたしの目からは涙がこぼれていた。
真鍋はそんなあたしを見ても何も言わずに、また体を打ちつけ出す。
「あっ…ああっ…」
「イキ…ますっ…」
体の中で、真鍋のそれが大きく震えるのが伝わると、真鍋が体を引き離した。
「真鍋っ…」
あたしは思わず真鍋に抱きつく。
涙がたくさん溢れてきて、このあたしがまるで子供みたいに真鍋に抱きついて。
「松本さん…」
真鍋があたしの髪に指を通す。
――多分真鍋にずっとこうやって抱きしめて欲しかったんだ。
ただあたしが欲しかったのは真鍋の温かさだった、って今気づいた。
「真鍋…
お願いだから…嫌いに…ならないで…」
思わず力が入って、真鍋のスーツをつかむ。
真鍋はあたしの髪を撫でながら不安になるあたしにこう言ったの。
「バカだなぁ…松本さん。
松本さんはいつも俺に『真鍋はわかってない』って言うけど。
松本さんだってわかってない…」
あたしは顔を上げて、真鍋の顔を見る。
いつもの、真鍋の笑顔。
「俺は松本さんを初めて抱くよりずっと前から、松本さんのことが好きだったんですよ…?
そんな簡単に、松本さんのこと嫌いになれません。
それに…」
真鍋があたしの唇にキスをして。
「今なら、社長からあなたを奪えたんだって、やっと思える――」
――とっくに奪われてるのに。
真鍋もわかってない…
あたしがどれだけあなたを好きか――
・・・・・・・・・・・
「梨絵さん、聞きました?!」