投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

恋の奴隷
【青春 恋愛小説】

恋の奴隷の最初へ 恋の奴隷 34 恋の奴隷 36 恋の奴隷の最後へ

恋の奴隷【番外編】―心の音G-3

「えっと…あの。お邪魔してます」

私はどもりながら控えめに会釈をして、痛いくらい刺さる凍りつくような視線を正面から受けながら、引きつった愛想笑いを浮かべた。ガラスの破片のように鋭く光る瞳に怯えながら。

「葉月ちゃんったら忘れちゃったの?なっちゃんよ!小さい頃よく遊んで貰ってたでしょう?」
「興味ない」

彼はそう素っ気なく応えると、ゆらりと部屋を出て行ってしまった。私の不器用なまでに情けない笑みを置き去りしにして。

「は、葉月ちゃんまだ小さかったからきっと覚えてなかったのよ!」
「そ、そうだよ!綺麗な女の子が突然目の前に現れたもんだから恥ずかしかったんだろ!」

私の耳には、はっきりと“興味ない”と聞こえたのだけれど。明らかにショックを隠し切れずにいる私の様子を窺うように、言葉を選び選びして気を遣ってくれている2人を前に、そんなことは口に出来るはずもなく。椎名家には乾いた私の笑い声が虚しく響いたのだった。


恋の奴隷の最初へ 恋の奴隷 34 恋の奴隷 36 恋の奴隷の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前