星降る夜の神話 其の壱-5
ジィリリリリリリッ
「…む?」
リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ…
ガチャッ
バンッ
「っうるさぁ―――――いっ!!」
「ゎきょっ!?」
「早く起きなさいよ!銀!!!」
目覚まし時計に負けじとも劣らず、姉の蓮華(れんげ)が叫び込んできた。
どうやら、昨日帰ってきてすぐ寝てしまったようだ。何故なら、制服のままだったから。
「おねぇ…」
「また遅刻する気?」
「…オハヨウ。」
今日は、遅刻なんかしない。でないと、壱岐に会ってしまうかもしれないから。
トントントン…
リズム良い包丁の音が聞こえ、同時に美味しそうな朝食の匂いが鼻を擽る。
「ゴメン。今日もご飯要らない」
階段を降りながら、台所に居る母に話しかける。
「あら、今日は間に合うでしょう?」
「間に合うけど、当番には間に合わ…!」
話す途中で、気が付いた。私が当番=出席番号が同じの壱岐も当番。それは当然のことだったのに。
「銀杏?」
急に口篭った私を、不思議そうに家族が見つめる。
「…や、何でもない。行ってきます」
◇
ガラ、
「…お早う」
恐る恐ると謂う言葉が合いそうな態度で、教室のドアを開ける。が、返事はない。誰もいないのかと思いほっとして入った。
「まだ来てないのかな?」
ー良かった。
が、
ー居るじゃん!!
入った瞬間、机に顔を伏せている壱岐を見付けた。
「ー…い、壱岐?」
動かない壱岐の側に、恐々と近寄る。
「寝てる…?」
すぴーと規則正しい寝息が聞こえた。
「………」
とくんっ
心臓が、少し大きく波打つ。
すぴー
「…ぷっ」
思わず笑いが出てしまった。
さわ…
窓が開いていたのか、風が教室を駆ける。
「…ん」
どくっ
起きたのかと思った。が、再び規則正しい寝息が続く。その様子にほっとしながら、自分の席に着こうとした。けれど、
「……ん。石野?」
「ひゃっ!?」
突然名前を呼ばれ、驚いて言葉通り『飛び上が』った。
ーお、お、起きた!?
「今何時…?」
寝惚けているのだろうか。虚ろな目で壱岐が喋る。
「え?あ、7時15分」
「……さんきゅ」
そういうと、背伸びをしながら私を見た。
「当番だろ?今日。早く終わらせねぇ?」
「……おぅ」
壱岐は、いつもと変わらない。こっちが戸惑う程普通に話しかけてくる。
気まずいながらも、自分の机の上に鞄を置いた。
◇
「終わったぁ!!」
一通り朝の仕事が終わり、先生へと報告へ行くと、ノートを提出した。
「失礼しましたー」
廊下に出、ほうっと息をついた。やっと仕事が終わった。戻ろうと、教室に足を向ける。が、
「悪い、石野」
「え…?」
グイッ
腕を掴まれた。
「ちょっと我慢して」
「はっ!?」