星降る夜の神話 其の壱-3
「何でアンタ達に指図されなきゃいけない訳?凄く不快。てか、ムカつく」
ーああ、ダメだ。普段溜めていた物が溢れ出してしまう。
「大体さ、何で束になってくるの?あ、言わなくて良いよ?弱いから以外にないもんね。可哀想に。束になることでしか身を守れないからね。…はぁっ。それとも小学校の一年生くらいで知能が止まった?あ、そうかも。じゃなきゃこんな幼稚なことしないね。うん。本当に可哀想。…病院行く?」
言いたいことを言ってスッキリしたとき、
「なっ…!」
真っ赤になった真島の
顔が目に入った。
ーざまぁみやがれ。
「何よっ!!」
バッ
真島の右手が中に浮く。やるかと身構え、手が降り下ろされた瞬間、
バシッ
「は?」
目の前へ人影が割り込む。と同時に、
「壱岐君!?」
奴の取り巻き達が慌てて逃げていった。
後に残されたのは、私と壱岐と由香。
わぉ。漫画みたいな事もあるんだなぁ。と一人で感心しつつ、壱岐の前ヘ行く。
「…何してんの?」
痛そうに薄く赤くなった頬に触れる。
「石野こそ」
「は?」
「何やってんの」
「何って…。『リンチに会ってた』?」
「おとなしく黙ってるタチでもあるまいし」
何気にさらりと失礼なことを言いやがって。
「銀杏、大丈夫?」
とてとてと由香が近付いてきた。学年の中でも小さい方の由香が走ると、ミニマムとしていて可愛らしい。
「私が、壱岐君を呼んだの。…壱岐君の取り巻きだったから、本人が来れば逃げるかと思って……」
「由香…」
今にも泣きそうな由香を見、にっこりと笑う。
「有り難う」
「石野、石野。俺にも」
「は?」
にこにこと笑いながら自分を指差す壱岐を睨む。
ー原因はお前だろう。
「お礼。俺だって身代わりになったのに」
睨んだ私を気にする風もなく、更ににこにこと笑う。
「………。アリガトウゴザイマシタ」
「うっわ。何その嫌そうな言い方は」
失礼な。と壱岐が口を尖らせ私を見た。
「帰ろう。由香」
ソレを無視して由香の腕を引っ張り、歩き出す。
「あっ、石野!」
「…なに?」
名前を言われては止まらないわけにもいかない。不本意ながら、止まった。振り返らずに。
「一緒に帰ろう。」
「却下」
聞くべきではなかっと後悔しながら、再び歩を進める。
「いーじゃん。家近いんだし」
「うるさい。」
いつの間にか隣にいた壱岐の顔を見らず、教室に鞄を取りに行く。
「付いてこないで。由香にまでとばっちりが行く」
ふんっと顔を振り、
「ばいばい」
立ち止まった壱岐に手を振る。
「ぎ、銀杏。良いの?」
「何が?」
「壱岐君あのままで」
「私には関係無いから。」
「でも…」
心配そうに由香が後ろを見た。
ーまさか、
「由香、まさか壱岐の事好き…?」
ーマジで?