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燃えるよりも萌えよ
【コメディ 恋愛小説】

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燃えるよりも萌えよ-3

「おっはよー。真樹どうだった?」

「…何が?それより優里、騙したでしょ」

「あー、そんな怒んないで。ゴメンって。でも剛太はいい奴だから、真樹もすぐに気に入ると思うよ」

「だから、私には好きな人が「はいはい、隼人でしょ。あんたもいい加減あのことは忘れて、三次元に帰って来なよ」

「うーん…」



「いーわせっ。一緒に帰ろうぜ」

放課後、そう言って剛太がやって来た。優里の方を向くと笑顔で手を振っている。
私はため息をついて、重い足取りで彼のもとへ向かった。





「まずは俺のことを知ってもらおうと思うんだ。ってことで自己紹介。名前は…朝言ったからいいな。何か知りたいことある?」

「あのさ、私、悪いんだけど好きな人いるから」

「えっ!?誰だよそいつ!?」

「隼人っていう人」

アニメキャラではあるが、他の男の名前を出せば諦めてくれるだろう。
しかし、剛太はしばらく黙った後、笑顔でこちらを見た。

「じゃあ俺、そいつより岩瀬に好かれるように頑張るよ!」



作戦失敗。



「よし、じゃあ何でも聞いてくれよ。小さいことでもいいから」

「じゃあ…、何で私なの?あんたみたいな人じゃ、告られたりするでしょ」

「あぁ…、そのこと。そりゃあさ、どんな女の子に告られても、俺は岩瀬がいいと思うからさ。あと、名前呼んでくれよ、『剛太』って。俺も『真樹』って呼ぶから」

そう言って剛太はニッコリ笑った。





それから、私は毎日剛太と帰るようになった。

剛太はいつも楽しそうで、たくさん話しかけてきた。
私自身も、剛太といるうちに髪型や身なりに気を遣ったり剛太の前で笑ったりするようになった。
けれど、何よりも大きな変化は、完全ではないけれど、以前よりは男に対する嫌悪感がなくなったことだろう。

「あんた変わってきたよ」と言う優里の表情は嬉しそうで、私も幸せな気持ちになった。

でも、まだ『剛太』と呼ぶことには抵抗があったため、私は彼を名前で呼んではいなかった。





──剛太と帰り始めてから1ヶ月後。

『ゴメン、今日は一緒に帰れない』

剛太からのメール。

珍しい。いつも帰ってたのに。



その時はそんな風にしか思っていなかった。


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