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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.7-8

すでに英理子の姿は無い。
当たり前だよな、そう自嘲気味に笑い、さっきまで愛を交わしていた布団に顔を埋める。
もう手の届かないところに行ってしまったのだろうか、ぽたり、と涙が零れる。

ぽたり、ぽた、つうーっ、ぽたん

流れの行き着く先は別々になる運命だったのかもしれない。





「鷲尾先輩ッ」
考え込んでいた鷲尾は、背中から呼ばれる声に驚いて振り返る。
(……誰だっけ?)
見覚えの無い少女が立っていた。ショートカットにアーモンド型の可愛いらしい瞳。全体的に浅黒い肌だが健康的だ。胸元の青いリボンの色からして自分よりも一つ下、二年女子だと理解した。
「あの、私、二年の三島です……、三島すえって言って、その……緑化委員で……」
緊張しているのか顔を真っ赤にし、もごもごと要領の得らない話し方だ。
啓介は英理子の事で一杯だった頭をフル回転させ、二年、緑化委員、そして三島すえ(ミシマ スエ)と名乗る少女について考える。
「………三島さん、って……あの、」
「一度フラれた三島ですッ」
真っ赤になってそう叫んだ三島に唖然とする。
SHR(ショートホームルーム)を終え、直ぐさま帰り支度を済ませた鷲尾は放課後の廊下で呼び止められた。まだ早い時間に加え、今まさに帰ろうとしていた啓介を追って来た為、生徒が密集する昇降口前ときている。
興味深い感じで見つめる者、ひそひそと噂話に花を咲かせる者、勝手に状況を汲み取って騒ぎ立てる者。様々な視線が痛い。ただでさえ外見で視線が集まってしまう啓介は、こういった状況がひどく苦手だった。
(参ったな…)
啓介は目の前の必死な三島には悪いが、どこかに逃げ出したい気分だった。
「…私、フラれました。で……でも、やっぱりダメなんですッ!諦める事なんて考えられないッ」
ざわざわと自分達を囲むように人だかりが出来始める。三島の真剣な告白も、このような状態では啓介の胸に何一つ響かない。
「…悪いけど」
即答出来る自分に少し寂しさを感じながら、啓介は首を横に振る。三島は目に涙を溜めて、ありがとうございました、と早口で言うと走っていってしまった。
可哀相な思いをさせてしまった自覚はある。だが、優しく出来ない。
三島が自分と大して変わらないからだ。相手を想う気持ちなんて、一度拒否されたくらいで変わることなんて出来ない。

「かっちょい〜、鷲尾、さっすがじゃーん」

間延びした声。振り向くと同じクラスの矢田が笑っていた。
緩く波打つ髪。着崩したワイシャツに緩めのネクタイ。一見軽そうな彼だが、この特進クラスのリーダー的存在である。ボストンタイプの鞄を背中に背負っているのだが、手にはバスケットシューズをぶら下げていた。
「鷲尾は終わったの?例の、か・だ・い」
より強調させて矢田が囁く。先程の人だかりは無くなったといえ、まだまだ帰り急ぐ生徒は多い。その波に乗るように、矢田と靴に履き替えて表に出た。
「鷲尾の課題ってなんだった?俺のはさぁ、やってやれないことは無いんだけど……」
視界の端で英理子がこっちを見ているのに気がついた。矢田には悪いが鷲尾は英理子をついつい目で追ってしまう。英理子も気付いたのか逃げるように昇降口脇の図書館へと入ってしまった。


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