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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.7-7

乱れたベッド。泣きじゃくる英理子。赤い痕。ベッドの上に置き去りにされた中身入りのゴム。
言葉を無くした啓介はフラフラと近付く。まずは泣いてる英理子を慰めようと手を伸ばす。だが、びくりと英理子は震え、そのままふるふると首を横に振った。その手はやめて、啓介はそう言われた気がして無力な右腕を戻した。
どくん、どくん、と心臓がうるさい。自分が使っていないコンドーム。誰かの精液。自分はきちんと処理したはずだ。
怯える英理子。胸元を隠すように押さえた手が震えていた。シーツの上には小さな乳白色のボタンが三つ転がっている。一緒に慌ただしく着替えていたのに今は半裸に近い。
大丈夫だと目で言うのだが、涙は止まる様子が無い。
自分が居なかった30分。
兄貴に頼まれてコンビニまで買い出しに行った30分。
英理ちゃん来てるの?なんて確認までしてた兄貴。

兄貴………?

なんとなく話が見えてくると沸々と怒りと悲しみが込み上げてくる。汚されてしまった。自分だけの宝物を。目の前で兎の様に目を腫らした英理子が痛々しい。
そう思うと、ぼろりぼろりと大粒の涙を零し、啓介は何も言わずに側にあった毛布で柔らかく包んであげた。
触れただけでビクッと肩が震える英理子。そんな様子にまた涙が出て来る。


「………耳、塞いでてね」
押さえ付けられて赤くなった手首。涙で張り付いた幾多の髪の毛。
怖がらせないように慎重に笑い、扉を閉め、いつもより平静にと意識をしながら階段を降る。
今にも暴れ出しそうな気持ちに、コントロールの効かなくなった憎悪が内側から溢れ出るのがよく解る。握り締めた拳が熱い。
一階に降りると、ざあああああぁっ、と流れる水音が聞こえた。そんな日常的な音が酷く苛立つ。身勝手で最低な音だ。耳の奥でズクンズクンと血が逆流しているのかも知れない。憎悪が音を立てて近寄ってくる。
啓介は浴室を使っている兄、弘樹を確認すると、握りしめていた拳を振り上げ、扉をこれ以上無い力で殴った。

―――ズガアアッ!!!!!!!

「けーすけ、な………」

「うああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

憎悪の向くままに兄である弘樹を殴りつける。
大事にしていた、自分にとって奇跡に近い恋人。一生守るなんて大袈裟だけど、自分を犠牲にしても守りたい、幸せにしたいと願ってやまない。そんな大事な恋人だったのに……!!!!
悔しさ、惨めさ、悲しさ、苦しさ………そういった感情が津波のように襲い掛かる。
啓介は力の限り拳を振り上げ、喉が枯れるほど叫び続けた。





……つぅーっ、ぽたん、

へこんだドア、割れたタイル、軋んだ床に、破けた拳。
ぽたん、ぽたんと血の混ざった水滴が排水溝に向かう。
「けーすけ、悪かったって……なあ」
痛々しい顔ではあるが、啓介が最終的に加減したおかけで弘樹は話が出来る状態だった。
兄だから……いや、殺してしまいたいくらい憎い兄だけど。気を紛らわせる為に殴ったタイルの壁の方が痛々しく割れている。

「…………英理、子」

のろのろと起き上がり、啓介は辛うじて残っている平常心で部屋にもどる。時間の感覚はわからないが、怯えてうずくまっているであろう英理子を抱きしめたかった。

だが………


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