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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.7-11

「………ばかみたい」

英理子の言葉に啓介は苦笑する。
「……償って、ケジメつけて、さよならって言いたいんでしょ?」
英理子の瞳は涙で溢れていて、か細い声は耳を澄まさなければ聞こえないほどだ。
「自分がすっきりしたら私の事は忘れて一から仕切直したいんでしょ?私みたいな汚れたお荷物なんか早く手放したいんでしょ?」
言いながらぽろぽろと零れる涙で目の前が滲む。恥ずかしくて顔を隠す様に掌を持って行ったが、大きな啓介の手に遮られた。
「……本気でそう思っているのなら、俺は全てを否定しないといけないんだな」
一つ息を吐き、啓介は手の中で戸惑う英理子に優しく語りだす。
「何を誤解しているのかは解らないけど、手放したいなんて一度も考えた事は無い。よりを戻したい、また側にいてほしい、そう願ってきたのだから。それに」
両手で英理子の頬を覆い、流れた涙を拭い取る。そんな優しい行動に英理子は戸惑う。そんな様子に愛しさが溢れ出し、啓介は額をこつんと重ね合わせた。
「英理子は汚れていない。汚れた人間なんて何処にもいない。人は愛されるために産まれて来た、そう言うだろ?英理子は愛されてるんだよ。俺も心からそう思ってる」
ゆっくりと視線を合わせればお互いが愛しくて仕方が無い。擦れ違っていた心が、また繋がり合おうとふれあって共鳴しあう。

「………俺はまだ、自惚れもいいのかな?」

くすっと笑って英理子が静かに目を閉じた。
静かに重なる唇は図書館の隅で愛を重ね合わせていた。





二人は何度も唇を重ね、空白を埋めるようにお互いの身体を抱きしめあった。
頬を寄せ、その存在を肌で確認すると身体の内部でもふれあいたいと思う。互いのそこが熱くなり、ここが何処であるという判断よりも勝ってしまいそうだ。
椅子を引く音、話し声、そして足音。近寄っては離れ、その都度現実に引き戻される。
別の場所に移動することも考えた。だが、この気持ちの高まりは消えてしまうだろう。でもこの場では見付かるに決まっている………のだが
「……あ…」
考えを巡らす啓介は、何を思い付いたのか英理子をみつめて悪戯っ子の様に笑った。
迷っていた啓介の目の前、英理子の背中越しに見た非常口の文字。
ドアノブをゆっくり回すと幸運な事にカチャリとドアは開く。爽やかな風に身を包み、足音を忍ばせて戸外に出れば、高い手摺りの壁に囲まれた非常階段に出た。

「啓介、けいす、け」
言葉の隙間をキスで塞ぐ。キスを繰り返しながら階段を上り、一階図書館から二階物理室脇の踊場まで移動する。
踊場からさらに上の階段、下部の辺りは、ちょうどどの位置からも見れない死角になっていた。校舎外の非常階段は、転落防止の為に手摺りが全て通常より高さのある壁になっている。加えて、放課後の物理室は掃除も終わった後で全てにカーテンが引かれていた。

「英理、もっといい?」
首筋を擽るようなキスをしながら啓介は言い、大きな上背を屈めて見上げる。
英理子はキュンと弾む気持ちをさとられないように、黙って肩に顎を乗せて背中に腕を絡ませた。広い背中、硬い鎖骨、逞しい首筋。何度も確かめるように頬を擦り寄せて確認すと、反対に啓介も頬を英理子の首筋に寄せて細い背中を撫でる。
「……んぅ」
ワイシャツ越しに背中を撫でると英理子は鳴いた。細くて骨ばかりが目立つ小さな背中は、折れそうで、壊れそうで、そして敏感だ。懐かしい感じが次々と甦る。愛しさ、切なさ、喜び、哀しみ。想い募らせ我慢し続けた日々。掌に感じる温かさに涙が零れた。


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