約束…1-8
「あっ…社長っ…もっと…」
「もっと…何だ…?」
「もっと…わたしを…愛して…」
それを言ったわたしが…どんなにいやらしい顔をしているのか自分じゃわからないけど――
社長がすごく切ない顔をして、わたしの中をかきまわす。
社長の限界が近いみたいだ。
「うッ…!」
小さくうめいてわたしの体からそれを引き抜く。
わたしは社長のそれからコンドームを取り外して、それを自分の口に含んだ。
社長は不安そうな顔をしてわたしを見ていたけど、わたしは我慢ができない子供みたいに吸いつきながら、社長のそれを舐めあげる。
「麗…」
わたしが唇を離すと、白い体液が顎の辺りを伝う。
そのこぼれ落ちる体液すら愛しい…
「社長…
わたし以外を抱いたら…許さないんだから…」
声が震える。
愛されてる自信なんていつもないのに。
また余計自信を失って、心がズタズタに引き裂かれたみたいになって。
「俺は…ね、麗」
社長は立ち上がってズボンを履き直して自分のデスクまで行くと、その引き出しを開ける。
そして何かを取り出すと、わたしの隣にまた座る。
社長が…両手で握りしめているものは…何?
「お前が…俺を手放さないっていうなら…
決心がついた」
わたしの左手を、社長が右手で引っ張った。
社長が左手を開く。
社長の手のひらに乗っているのは、2つの…シルバーリング。
社長は2つのうち小さい方をわたしの左手の薬指につけて、もう片方のリングを自分の左薬指にはめる。
「…よかった、麗のぴったりだ…
俺はね、麗――
今回のこと許して欲しいと請うつもりはないし、やってはいけないことだったと思ってる。
松本のことを最後の最後まで傷つけて、麗のことを傷つけて…
だからね…」
ソファーからおりて、わたしの目の前にひざまずく社長。
何…?何をするの…?
「松本にしたことを許さず…だけどあなたが俺を手放さないと望むのなら…
俺は…あなたのものになる――」
わたしはその言葉を聞いても、その言葉の意味が理解できなくて…
「この指輪みたいなただの『もの』であなたを縛ることはできないけど…
あなたが俺を縛ることは、できると思うから。
あなたと…添い遂げさせて下さい…」
「…社長…」
「社長なんて呼ばなくてもいい…
俺は麗の前では、ただの金澤雪人なんだから」
目から、熱いものがこぼれ落ちる。