恋は盲目………イタズラ……………-5
「誠!!」
タイミングよく蓮香姉さんが手を放してくれる
「はい!」
何という条件反射……
憐れんでくれみんな……パブロフの犬も真っ青な反射じゃないか。
「あなたは私のもの、そうよね?」
見た目は誰もが騙される天使の微笑みだが、俺には見える。その裏に隠された残酷な真実が……
「はい……その通りです百合香……ぐむっ!」
また蓮香姉さんに口をふさがれる。
見ると茫然自失の白鳥先輩と……麗さん、目が真っ赤だ……
「これで分かったかしら?誠には心に決めた女性がいるってことよ、もちろん私だけどね?」
待った!!それは違う意味で、心に決めたというよりは絶対服従を刻み込まれたというほうがニュアンス的にあってるぞ!
という俺の叫びは虚しくも蓮香姉さんによって阻まれたのである。
「さぁあなた達はもう学校へ行きなさい?私は誠に用があるんだから。」
腕を組んで仁王立ちする様はまさに女傑!!
しかもスタイル抜群の美人な上に頭脳明晰で口も強いとなれば、いくら白鳥先輩でも勝ち目はないし、麗さんは言わずもがな……
「誠のバカぁぁぁぁ……!!」
走り去る白鳥先輩、そしてただ立ち尽くす俺。
「誠くん、私、誠くんに彼女さんがいるなんて思わなくて……先に教室行ってるね……」
麗さんの無理やりつくった痛々しい笑顔が逆に胸を押し潰す。
2人が去ったあと、ようやく口封じが解かれる。
「一体何の用ですか百合姉さん、蓮香姉さん!!」
「あら、酷い言いようね?私達はおもちゃが他人にとられる前に手をうっただけよ?」
どっちが酷い言いようなんだ……
「それとも何か文句でもあるのかな誠くんは?」
なんてぶりっ子全開な蓮香姉さん。
神様!どうして俺は一番年下だったのでしょうか?!俺は神を憎む!
なんでなのですか神よ!!
俺は神をにく……
「ない……です…。」
膝をがっくりと地につけて完全敗北な俺
「よしよし、んじゃお姉ちゃん達はもう行くから誠も学校遅れないようにね?」
足音が遠ざかるのを最後に俺は思考を止めた
…………………