reality ability‐第7話‐無意識の中の“真実”‥‥更なる“覚醒(チカラ)”‐-2
「‥‥‥」
「まだだ!」
皇希は諦めずに全身で襲い掛かろうとしたが、不意に背中から首筋に腕を巻かれた。
「!!」
「それが私とは言ってないわ?」
謎の女性‥‥いや、絢音だろう。優しく包むように皇希に抱き締めている。そして、目の前の皇希は泡のように消えていった。
皇希と同じぐらいの身長。少し小さいか。長くさらさらとしている髪。大人の色気を持つ顔にそれなりの大きさを持つ胸。手足も細い。
それに細く引き締まった全身。とても母とは呼ばれる事はない身体だった。当たり前だった、彼女自身で産んではいないから。当然のように裸だった。
「くっ!離せ!」
「‥‥本気じゃないくせに。皇希、貴方が本気になったらこの状態‥‥この世界も壊せるんだから。」
絢音はさりげなく凄い事を言っている。
「‥離してくれ。」
皇希は冷静さを取り戻したようだ。だが、絢音は解放しなかった。
「‥‥私を許してとは言わないわ。“あの人”の思惑通りになったのだから。」
絢音の目からは涙が流れ出した。何に対しての涙かは不明だった。
「知っていたか。‥‥統神 皇希か。」
皇希はため息を吐き、少し考えていた。
「‥‥過去にね。彼に惹かれたのかもしれないわ。私は貴方の苦しみを解ってなかった。」
絢音は皇希を離す。皇希は直ぐに向き合うように動く。
「とりあえず、ここはどこだ?教えろ。」
絢音は目を細め、皇希を睨むように見ている。しかし、喋ろうとしなかった。
「‥‥仕方ないな。」
皇希はどこかに歩き始めた。すると、絢音は喋る。まるで、言いたくない事を言うように。
「ここは‥‥“天真の器”の中よ。‥‥“器”は一人しか復活出来ないの。」
絢音は悔しげな表情になった。
「‥‥母さん。例外があるぜ?」
「えっ!?」
皇希が絢音の事を“母さん”と言ったのも驚きだが、例外があると言った事の方が意外だった。
「‥‥確証が欲しかっただけだ。」
「どこに行くの?ここには何にもないわ。」
そう、皇希は歩きをやめなかった。
「主人(あるじ)に会うのさ。」
「??」
絢音は訳も解らずに付いていく。