reality ability‐第7話‐無意識の中の“真実”‥‥更なる“覚醒(チカラ)”‐-14
「‥‥次に地界や天界、冥界も獄界(ごっかい)も、人間や神々が可能な限り往復出来る。しかし、制限は少しあるが低めに設定だ。」
誑笥が怒りの口調で皇希を攻める。凄い表情で皇希に近づく。
「てめぇ!‥‥何、仕切っている!?」
手枷があるため、両手で皇希の首筋を掴もうとする。皇希は抵抗せずに素直に掴まれ、宙に浮き始める。
しかし、苦しむような表情ではなかった。眼差しは鋭く、威圧感はそのままだった。
「‥‥‥。“世界”を変える。ただ、それだけの事だ。」
「‥‥ちっ!」
誑笥は手を放す。皇希は冷静で冷たい視線で誑笥を見る。
「‥‥皇?私たちは一体何をすればいいの?」
織音が不意に聞く。
「この戦い後に“力や魔力を無駄に使わない”事だ。そうすればいいと思う。‥‥結果が教えてくれる。」
「そう。‥‥解ったわ。‥‥‥。」
さっきから織音は歯切れの悪い口調。理由がどれか解らない。
「‥‥‥。自分の部屋に戻るわ。」
織音が入り口へと歩き出す。
「‥‥後は母さんが決めてくれ。‥‥言われているのだろう?“統神 晴那”から?」
「‥‥ええ。」
絢音は頷いた。皇希は確認したら織音を追うように歩き出す。
「織音。」
皇希が入り口から少し離れた場所で織音を止めた。織音は止まったが振り向かなかった。
「‥‥何?」
たった一言。冷たい態度の織音。
「‥‥正嗣義父さんと愛那義母さんに言われた。‥‥“真実”は時に残酷だ。」
皇希は真剣だった。
「織音にも関する事がある。聞く気があるのなら俺の部屋に来てくれ。」
皇希は返事を聞かずに自室へと歩き出した。
「‥‥待って。何故、私に言うの?哀れみ?それとも‥‥」
織音は下を向きながら言った。
「‥‥どう捉えるかは織音次第だ。それが俺の気持ちだ。」
皇希はそう言うと歩くの速度を少し速めた。
「‥‥‥」
織音は立ち尽くす。何もしない。いや、何も出来ない。考える事しかないと思う。