reality ability‐第7話‐無意識の中の“真実”‥‥更なる“覚醒(チカラ)”‐-12
「‥‥焦るな。‥‥この“運命”が若干だが変わってきている。‥オマエが“イレギュラー”と解ったからな。」
未来の皇希が皇希を睨む。皇希はまた目を逸らす。“イレギュラー”と言われた皇希に皆は困惑したように考える。
「オレの時は‥‥いや、本来なら母さんはまだ復活しない。そして、“天真”の一段階解放もまだだ。」
未来の皇希は自分の過去を言った。“真実”だろう。未来の皇希の瞳は真っ直ぐだった。皆は少し納得した。
「‥‥オマエが“真実”を受け入れた時に何を思ったのか知らないが、この“運命”を変えるつもりなんだろう?」
未来の皇希は聞く。
「‥‥そうだとしたら、俺をどうするつもりだ?統神 晴那の人形よ?」
皇希が聞き返す。二人の“皇希”に周囲は何をしていいのか、全員が戸惑っていた。
「‥‥いや、何もしないさ。オレはオマエの言う通り、“人形”だからな。」
未来の皇希は何かを思い詰めたような表情になった。この言葉を聞いた皇希が傷付いた身体で立ち上がる。
「なら、どっか行け。ここはお前が居ていい場所じゃない。」
皇希は威圧感を漂わせながら言った。だが、未来の皇希は何事も無いように喋る。
「“運命”を変えると言うならその責任を持てよ?じゃないと、オレが全力で倒すからな?」
未来の皇希も皇希を上回る威圧感を漂わせる。皇希は少しだが後ろに下がった。流石に気迫が違っている。
「‥‥‥まぁ、いい。じゃあな。‥‥失敗するなよ。」
未来の皇希は入り口に歩く。皇希は嫌味のように喋る。
「造り出してやるよ。お前が出来なかった“未来”を‥!!」
その言葉を聞いた未来の皇希は笑ったような気がした。未来の皇希が出ていくと同時に零歌が喋り出す。
「‥‥。ねぇ、私も期待していい?」
皇希は足元にあるコップを手に持つと直ぐに飲み干す。身体中の傷が一瞬で治るが変化が起きた。復活した時と同じように女になった。
だが、皇希は瞬時に戻し零歌の方を向いた。その事に触れてはいけない雰囲気で周囲は圧倒されている。
「勝手にしろ。俺の邪魔だけは許さない。」
皇希は冷たく言い放つ。しかし、零歌は笑顔だった。皇希はその様子を気にくわないようだが何も言わなかった。
「‥‥そうさせてもらうね。」
零歌は言い終わると姿を戻した。織音はふらふらしたが皇希が支えた。
「ありがとう。‥‥‥‥‥。」
織音は礼を言ったが皇希の顔を見ないように視線を外した。すると、絢音が先ほどの事を喋る。
「皇希?さっきの姿はやはり“あの方”?」
「だとしたら?」
皇希は絢音の問いに即答した。絢音は怯まずに続けて喋る。