reality ability‐第7話‐無意識の中の“真実”‥‥更なる“覚醒(チカラ)”‐-10
「‥‥地界に居た時みたいに明るい笑顔でまとめ役をお願いします。」
皇希は礼儀正しく最敬礼する。育ての親に対して子の礼と“自然神”としての礼だろうか。
「‥‥“皇希”からの願いかい?」
正嗣は聞く。皇希を強調した。正嗣と愛那は“何か”を秘めた表情だった。
「‥‥‥。‥そうです。‥‥“俺”からの願いです。」
皇希は目を見開き口を開けるほどの驚き顔を見せたが、瞬時に真剣な表情に戻した。
「‥‥なら引き受けよう。ここを明るい場所にしよう。」
正嗣と愛那はまた笑顔になる。皇希はホッとしたようで姿を覚醒前に戻した。
「‥‥ありがとうございます。‥‥俺はやる事があるので失礼します。」
皇希は立ち去ろうとする。だが、皇希には予測出来なかった言葉を放つ愛那が行動を止める。
「皇?仁くん‥いいえ、天神 織音さんと話しなさい。理由は解ると思いますから言いません。」
愛那は笑顔だった。正嗣は真剣な眼差しで皇希を見ている。皇希は愛那を見たが、睨みはしなかった。何かに苦しんでいるような表情だった。
その表情を見た愛那は笑顔のままで続けて喋る。追い討ちのような口調でだ。
「苦しんでいるのは皇だけじゃないのよ?“真実”を知りたい彼女だって苦しんでいるの。助けられるのは皇、貴方だけよ?」
「‥‥‥」
皇希は無言で立ち去ろうとする。だが、正嗣と愛那は一言ずつ喋る。
「皇希、力を正しく使うんだ。」
「皇、優しさを忘れないでね。」
「‥‥‥はい。」
皇希は振り返る事はしなかったが、はっきりとした返事はした。皇希は徐々に離れていく。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
正嗣と愛那は悲しげに見ている。見守る事しかない二人は皇希の事をどう思っているのか?
‐数時間後、集神城の閲覧の間‐
皇希、絢音、織音、螺樹、司樹菜、凰輝、誠慈、光、誑笥、那奈夜、羅紅、祐、結の計十三人が居た。皆、真剣な表情だった。第一声は皇希。
やはり、上級神や下級神、天使らも多少居る。皇希が手配したようである。何のために読んだのか、不明だった。
「‥‥まずは一つ。今の俺は一応、覚醒した。まだ制限されているが‥‥。それと無神 皇希と名乗る。」
覚醒状態の皇希。絢音以外の全員は冷や汗が流している。感じているのだろう、“力”の威圧感と恐怖感を。皇希は睨み付けるような眼差しだった。
「‥‥初めまして。私は無神 絢音です。神年齢は25万歳。だから、人間でいえばまだ20歳よ。」
絢音はいきなり言った。若い理由が解った。絢音は笑顔だが司樹菜が動揺している。絢音は司樹菜を見ていた。どちらもどう思っているのか?
「‥‥母さん。自己紹介はいい。話がこじれる。黙っててくれ。」
皇希は一瞬だけ見たが、直ぐに周囲を見回すように視線を泳がす。